Research Abstract |
今年度は,JRAの成長率を成長因子や炎症病態との関連で検討し,下記の結果を得た. 1. 対象:ステロイド非使用の16歳未満のJRAで,活動に支障がない関節機能を保持し1年以上経過を観察し得た17例(平均年齢10歳,罹病期間3.6年). 2. 方法:JRAの1)年間成長率,2)成長因子(IGF-1,IGFBP3,Osteocal cin(OC)),3)橈骨骨塩量(DEXA法),4)炎症病態(赤値,CRP),5)関節炎マーカー(血清ヒアルロン酸),を測定し,活動期,非活動期,寛解期の3群で解析した. 3. 結果: 1) 少関節型では成長障害はみられなかった.以下は多関節型と全身型の結果を示す. 2) 成長率(平均SD):活動期で-3.9と低く,非活動期ではむしろ+4.1と高値となり,寛解期には-0.1と正常化した(P=0.04). 3) 成長因子(平均SD):IGF-1/IGFBP3値は活動期は低値であり(-4.5/-2.4),非活動期(-1.3/-1.7),寛解期(-1.0/-1.1)と次第に正常化した. 4) 骨塩量(平均%):活動期には低値で(67.6%),非活動期では増加し(87.9%),寛解期には正常(92.8%)化した(P=0.05). 5) 成長率との相関因子:OC(R^2=0.60,P=0.04)は有意に相関し,ヒアルロン酸(R^2=0.36,P=0.06)も相関傾向を認めた.IGF-1,IGFBP3は有意な相関はなかった. 4. 結論と考案 JRAの成長障害は,炎症病態が軟骨骨芽細胞増殖に必用な成長因子(IGF-1/IGFBP3)や,骨形成を促進するOCの産生を障害して発生したものと考えられた.また,成長障害が炎症病態の程度とも関連したことは,骨代謝に関わる炎症性サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-α)が関与したことを示唆しており,来年度検討を進める予定である.
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