2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児ネフローゼ症候群、慢性腎炎の発症、再発および進展増悪におけるウイルスの関与
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10670742
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Research Institution | Fukushima Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 重雄 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00274960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00305369)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20171217)
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045682)
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Keywords | ネフローゼ症候群 / IgA腎症 / コクサッキーウイルス / 肉眼的血尿 / 再発 / マウス実験腎炎 / メサンギウム細胞 |
Research Abstract |
私達は以前よりコクサッキーウイルスをマウスに投与することにより、メサンギウム細胞増殖を伴うヒトIgA腎症類似の腎炎を惹起させうることを報告してきた。一昨年からは、臨床的に各種慢性腎炎の血尿発作や再燃、ネフローゼ症候群の再発にウイルス感染が関与していることを疫学的に検討してきている。また、昨年度より臨床での検討項目以外に、マウス実験腎炎を作成し、ウイルス感染がその経過に影響を及ぼすか否かを検討してきた。さらに培養マウスメサンギウム細胞を使用し、ウイルス感染の重要性を明らかにしていきたい。 動物実験としては、マウスに抗糸球体基底膜抗体を経静脈的に投与することにより実験腎炎を惹起させた。この腎毒性血清腎炎惹起マウスに、コクサッキーウイルスを接種してウイルス感染を起こさせ、尿蛋白量などの推移を観察することにより、コクサッキーウイルスが腎炎の経過に及ぼす影響を検討した。その結果、抗糸球体基底膜抗体投与と同時にコクサッキーウイルスを投与した場合に、尿蛋白排泄量が経過中有意に増加した。一方、抗糸球体基底膜抗体投与数日後、尿蛋白出現後にウイルスを接種した場合には、その後の尿蛋白排泄量に大きな差異は認められなかった。すなわち、腎炎惹起因子が著明である時期にウイルス感染が生じると、相乗効果的に作用して腎炎を悪化させうることを示唆する結果であった。現在、腎病理学的な変化や、腎組織内の各種サイトカイン産生量などを検討中である。 以上のように、各種腎炎やネフローゼ症候群の再燃、再発にどのようにウイルス感染が寄与しているのか、今後もその機序を詳細に検討していく必要がある。
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