1998 Fiscal Year Annual Research Report
血友病A遺伝子治療における第VIII因子発現と免疫学的影響に関する研究
Project/Area Number |
10670751
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
嶋 緑倫 奈良県立医科大学, 医学部・小児科, 助教授 (30162663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一郎 奈良県立医科大学, 医学部・小児科, 講師 (00201616)
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Keywords | 血友病A / 第VIII因子 / 同種抗体 |
Research Abstract |
本研究は、血友病A遺伝子治療の臨床応用をめざして、第VIII因子遺伝子導入、蛋白発現および同種抗体産生状況に関する免疫学的検討を目的とするものである。平成10年度の研究実績は下記のとおりである。 1. 血友病A犬と第VIII因子の補充療法 カナダQeen's大学(Giles博士)の血友病Aビーグル犬コロニーより導入した血友病A保因犬とビーグル犬をかけあわせて生まれた血友病A犬を使用した。飼育は本学動物飼育センター内ブタ羊飼育用室にて行った。出血時にはイヌクリオプレシピテートによる補充療法を行った。クリオプレシピテートは正常イヌ血漿を凍結後、4℃下で解凍後遠沈して分離し、生理的食塩水で溶解したものを使用した。血友病A犬の出血部位はヒトと同様に四肢関節が多かったが、出血頻度は少なかった。出血症状に対し、補充療法は著効した。 2. 抗第VIII因子同種抗体の検出および免疫生化学的解析 酵素抗体法およびイムノブロット法によりイヌ抗第VIII因子同種抗体の1gクラスの検出を行った。酵素抗体法は純化イヌ第VIII因子をポリスチレンプレートに固相化し、イヌアルブミンにてブロック後、イヌ血漿サンプルを添加し、抗1gGサブクラス抗体にて検出した。イムノブロットは第VIII因子フラグメントをSDSポリアクリルアミドゲルにて電気泳動後、ニトロセルロース膜に転写後、抗イヌ1gG抗体にて検出した。イヌ抗第VIII因子同種抗体の1gクラスは1gGでヒト第VIII因子、トロンビン分解第VIII因子フラグメントに反応した。以上より、イヌ抗第VIII因子同種抗体の免疫学的性状はヒト抗第VIII因子同種抗体ときわめて類似していることが明らかになった。
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[Publications] Zhong D,Shima M et al: "Some human inhibitor antibodies interfere with factor VIII binding to factor IX." Blood. 92. 136-142 (1998)
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[Publications] Healey JF,Shima M et al: "Residues Glu2181-Val2243 contains a major determinant of the inhibitory epitope in the C2 domains of human factor VIII." Blood. 92. 3701-3709 (1998)
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[Publications] Sugaki H,Shima M: "The role of platelet von Willebrand factor in the binding of factor VIII to activated platelets." Thrombosis Research. 90. 207-214 (1998)
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[Publications] 嶋 緑倫: "症候・病態の分子メカニズム 血友病・Von Willebrand病" 中山書店, 606 (1998)
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[Publications] 嶋 緑倫: "Annual Review 血液 血友病" 中外医学社, 245 (1998)