1999 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病にみられる血小板増多機序の解析とトロンボポエチンの新しい調節機構
Project/Area Number |
10670758
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石黒 精 帝京大学, 医学部, 助教授 (90222984)
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Keywords | トロンボポエチン / 川崎病 / TPO / c-Mpl ligand / 血小板 / 巨核球 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究の目的は川崎病ではどのような機序で血小板が増加するのか明らかにすることである.トロンボポエチン(TPO)は血小板と巨核球の造血を調節する主要なサイトカインである.炎症性疾患で見られる血小板増多はIL-6の産生増加に起因すると推定され,TPOの関与については否定的に考えられてきた.平成10年度には川崎病では血清TPOが増加し,TPOはIL-6と共同して川崎病で見られる血小板数増加に寄与していることを示した. 平成11年度にはさらに血小板数が増加した感染症の急性期においての血清TPO値の変動について検討した.感染症患児の血清TPO値は,血小板数が正常である発病第1週において有意に高値であった.血小板数が最高であった,発病第2から第3週においても血清TPO値は対象と同等であった.血清IL-6値は発病第1週に最高であった.以上の結果から,TPOはIL-6と共同して川崎病だけでなく感染症でも血小板数増加に寄与していると推測された.さらにTPOの産生は炎症性疾患の急性期に増加している可能性が示唆された.また,TPOの産生は誘導され得るとの仮説について,動物実験を施行した.Norhern hybridizationやcompetitive RT-PCRを用いて,肝や腎,骨髄でのTPOmRNAの発現の変動を検討したが,変動している証拠は見出されなかった.この点については方法論の改良も含めてさらに検討が必要である. 川崎病は日本で発見され,日本において多発している疾患である.そのため,川崎病の研究は我が国の重要な課題である.本研究結果は川崎病の病態解明の一助になったと思われる.さらには重症例の治療として,TPOはIL-6やTNFなどとともに,将来は抗炎症療法の標的として応用される可能性もあると思われる.
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Ishiguro A: "Age-related changes in thrombopoietin in children:reference interval for serum thrombopoietin levels"Br J Haematol. 106. 884-888 (1999)
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[Publications] Kobayashi M: "Serum granulocyte colony-stimulating factor levels in patients with chronic neutropenia of childhood:modulation of G-CSF levels by myeloid precursor cell mass."Br J Haematol. 105. 486-490 (1999)
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[Publications] Ishikita T: "Carbamazepine-induced thrombocytopenia defined by a challenge test"Am J Hematol. 62. 52-55 (1999)
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[Publications] 鈴木徹臣: "Methotrexate大量療法により急性腎不全を発症した乳児ALLの1例"日小児会誌,. 13. 199-204 (1999)
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[Publications] 石黒 精: "免疫不全と癌"癌と人. 26. 12-13 (1999)
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[Publications] 石黒 精: "髄膜炎とサイトカイン"小児感染免疫. 11. 165-170 (1999)
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[Publications] 石黒 精: "CD分類の臨床的意義"Biotherapy. 13. 999-1007 (1999)
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[Publications] 石黒 精: "SCF(stem cell factor)."日本臨床,血液・尿化学検査・免疫学的検査. 57. 829-831 (1999)
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[Publications] 石黒 精: "中枢神経系に対する抗菌薬の使い方"小児内科. 32. 223-227 (2000)
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[Publications] 関口恭子: "ペニシリン耐性肺炎球菌による感染性心内膜炎の一例"小児感染免疫. 12(印刷中). (2000)
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[Publications] 石黒 精: "サイトカインからみた髄膜炎"日本臨床免疫学会雑誌,. (印刷中). (2000)
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[Publications] 石黒 精: "今日の小児治療指針 細菌性髄膜炎.12版"医学書院(印刷中). (2000)