1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670759
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 助教授 (00093386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (40091045)
田村 弘 帝京大学, 医学部, 助教授 (30101728)
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Keywords | Menkes病 / 銅輸送ATPase / 銅投与 / シチオカーボ / macularマウス / 治療 |
Research Abstract |
目的:Menkes病に対する銅とキレート剤の併用療法の効果を検討した。 材料と方法:Menkes病モデルマウスであるmacularマウスに生後7日目に塩化銅(銅として50ug)を皮下投与し、その後通常に飼育し、生後1ヶ月目から以下の実験を行った。対照として、正常の1ittermateを用いた。マウスを3群に分け、1群:銅投与(塩化銅50ug/0.1ml/回を2回/週)、キレート剤投与(ジチオカーボ3mg/mlを2回/週)、2群:銅投与とキレート剤の代わりに水投与、3群:銅、キレート剤の代わりに生食水、水投与とした。1ヶ月間治療を行い、1ヶ月後に血清および脳、肝臓、腎臓を摘出し、銅濃度を原子吸光光度計で測定した。 結果および考察:キレート剤投与群のマウスが、実験中数匹死亡した。キレート剤の投与量が多すぎたと思われた。1)血清銅値は対照の1群で最も高く86-157ug/d1であった。macularマウスの銅投与のみの2群では95-113ug/d1と正常範囲であった。2)脳の銅濃度は、対照群では、1群が24-29ng/mg dry weightと2群、3群(21-27)に比べて高かった。macularマウスも1群(17.4)が2群(9.3-12.9)に比べて高値であった。3)肝臓の銅濃度は、対照では1群が21-29ng/mgであり、2群(16-30)、3群(23)と有意差はなく、macularマウスでも1群(35)、2群(20-26)と差はなかった。4)腎臓の銅濃度は、対照群では1群で18-27ng/mg,2群12-16、3群18であったが、macularマウスでは1群は413ng/mgと2群(308-391)に比べて有意に高値であった。すなわち、キレート剤併用で、macularマウスの脳の銅濃度は銅投与のみに比べ有意に増加、改善したが、腎臓の銅濃度もより高備になった。今後、臓器中の銅が銅酵素に有効に利用されたかを、銅酵素の活性測定や免疫組織学的検討で明らかにする必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 村田佳子,西脇れい,児玉浩子ら: "Menkes病患者の遺伝子解析と銅代謝" 日本先天代謝異常学会雑誌. 14(2). 260 (1998)
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[Publications] 村田佳子,児玉浩子: "Menkes病の遺伝子解析と病態との関連" 日本小児科学会雑誌. 103(2). 147 (1999)
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[Publications] H.KODAMA et.al: "Structure and function of ATP7A as studied by mutotion analysis" 生体機能における金属イオンの特異的作用の分子科学. 3. 48 (1998)
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[Publications] 児玉浩子: "ヒトのMenkes病 後角症候群とマクラ・マウス" 脳の科学. 増刊. (1999)
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[Publications] 児玉浩子(分担): "小児科学年鑑 1999" 診断と治療社, (1999)
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[Publications] 児玉浩子(分担): "遺伝子治療開発研究ハンドブック" 日本遺伝子治療学会(予定), (1999)