1998 Fiscal Year Annual Research Report
先天性銅代謝異常症における銅輸送障害および臨床症状の発現機構に関する研究
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10670764
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
山口 之利 東邦大学, 医学部, 講師 (30277339)
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Keywords | 先天性銅代謝異常症 / 銅輸送P-type ATRase / Wilson病 / Menkes病 / ATPase活性 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
1. Wilson病症例における原因遺伝子の構造解析 Wilson病症例24例に対し,原因遺伝子ATP7B遺伝子の構造解析を行い,変異を同定した.日本人Wilson病症例におけるATP7B遺伝子変異の型と頻度は欧米人症例と明らかに異なっていた.点突然変異によるmissense mutationであるArg778Leu,1塩基欠失の2874delCおよび1塩基挿入2302insCが高い頻度にて認められた.本症の遺伝子診断を行う場合には,これらを含む9種類の変異,あるいは7つのエクソンを解析することにより,全alleleの約70%の変異が検出可能であると考えられた. 2. Menkes病およびWilson病における銅特異的ATPase活性の測定 古典的Menkes病症例1例とその母親(保因者)およびWilson病症例5例に対し銅特異的ATPaseの活性測定を行った.上記した対象症例の培養リンパ球のcell membraneにおいて,銅負荷により上昇するATPase活性をATPの酸化的リン酸化の変化により測定した.その結果,古典的Menkes病症例の培養リンパ球における銅投与によるATPase活性の上昇はコントロールの30%程度,本症保因者は約50%であった.Wilson病症例においては,コントロールの45-60%程度であった.先天性銅代謝異常症とその保因者の培養リンパ球において,銅特異的ATPase活性は低下しており,本法によりATP7Aあるいは7B蛋白の機能を解析することが可能であると考えられた.銅刺激による活性上昇の程度がMenkes病症例にて正常の約30%程度,Wilson病症例にて45-60%であったことより,リンパ球における銅代謝にはATP7A蛋白がより強く機能していると推察された.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺温子,清水教一ほか: "マススクリーニングにて発見され,ATP7B遺伝子解析により診断できたWilson病8か月男児例" 日本小児科学会雑誌. 102(6). 688-691 (1998)
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[Publications] 山口之利,清水教一ほか: "乳幼児後半から幼児を中心としたWilson病スクリーニング実施成績" 日本マススクリーニング学会誌. 8(1). 3-6 (1998)
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[Publications] 岡田麻里,清水教一ほか: "Tetrathiomolibdate(TTM)の除銅効果に関する研究" Biomed Res Trace Elements. 9(2). 61-62 (1998)
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[Publications] 清水教一,青木継稔ほか: "Wilson病の遺伝子診断に関する研究,方略とその有用性について" Biomed Res Trace Elements. 9(2). 63-64 (1998)
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[Publications] 青木継稔,清水教一ほか: "先天性銅代謝異常の責任遺伝子" Medical Practice. 15(12). 2142-2144 (1998)
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[Publications] 青木継稔,清水教一: "別冊 日本臨床,先天性代謝異常症候群(下巻)" (株)日本臨床, 682 (1998)