1998 Fiscal Year Annual Research Report
新たなテトラヒドロビオプテリン合成酵素がヒトにも存在するか
Project/Area Number |
10670765
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯野 煕彦 日本大学, 文理学部, 教授 (50059937)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / テトラヒドロビオプテリン生合成系 / セピアプテリン還元酵素 / カルボニル還元酵素 / プテリン |
Research Abstract |
すでに我々によって報告されている、セピアプテリン還元酵素(SPR)とは異なる新たなテトラヒドロビオプテリン(BH4)合成酵素の詳細な性質を検討するため、本酵素の精製を行った。精製過程に於いて、DEAE-Sepharose FFによるカラムクロマトグラフィーを行ったところ、本酵素が2種のタンパク質により、構成されていることが判明した。2種のタンパク質は、それぞれにカルボニル還元酵素活性を持っていたので、CRI,CRIIと名ずけた。CRIはBH4合成系の中間体である6-pyruvoyl tetrahydropterin(PPH4)をNADPHの存在下で6-lactoyl tetrahydropterin(6LPH4)に,CRIIはPPH4をNADPHの存在下で1'-hydroxy-2'-oxopropyl tetrahydropterin(2'-OX-PH4)にそれぞれ還元するが、単独ではPPH4をBH4にまで還元する働きを持っていないことが判明した。しかし、CRIとCRIIを混在させてPPH4に作用させるとBH4が合成された。そこで、6LPH4にCRIIを、2'-OX-PH4にCRIをNADPHの存在下でそれぞれ作用させたところ、両者ともBH4が合成された。以上の結果より、すでに報告したSPRとは異なるBH4合成酵素は、2種のカルボニル還元酵素(CRI,CRII)により構成されており、CRIはBH4合成系の中間体であるテトラ型のプテリンの6位の側鎖にそんざいする2'位の炭素のケト基を、CRIIは同じ6位の側鎖の1'位の炭素のケト基をNADPHの存在下で、それぞれ還元する活性を持ち、両者のそれぞれの還元によりBH4が合成される反応系を構成していることが、明らかになった(日本蚕糸学会第68回大会、日本動物学会第69回大会、講演)。
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