1999 Fiscal Year Annual Research Report
後天性結合織疾患におけるコラーゲン3分子間架橋(HHL)形成異常の制御機構
Project/Area Number |
10670778
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 治 群馬大学, 医学部, 教授 (90168188)
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Keywords | コラーゲン / 分子間架橋 / HHL / 強皮症 |
Research Abstract |
Histidinohydroxylisinonorleucine(HHL)はI型コラ-ゲンの3分子間架橋である。前年度は全身性強皮症患者硬化部皮膚ではHHLが有意に増加していることを明らかにした.本年度は限局性強皮症の1病型であるモルフェア患者の硬化性病変部におけるHHL量を,同一患者の周囲正常部位と合わせて測定し,検討した.対象はモルフェア患者3名,汎発生モルフェア患者2名の計5名で,皮膚は硬化部および硬化部から約1〜2cm離れた周囲正常部から6mmパンチで採取した.周囲正常部位のHHL量はコラーゲン1分子あたり0.28±0.10であったのに対して,硬化部では0.36±0.09と有意に増加していた(P<0.01).しかし,硬化部HHL量の変化と罹病期間に相関はなかった.全身性および限局性強皮症の検討結果から,これらの疾患における硬化性病変の形成に,HHLの増加が関与していることが明らかとなった. 病的硬化部のコラーゲンの質的変化を我々が最初に報告した.硬化部の光顕レベルの観察では,コラーゲン束が均質膨化し,電顕レベルではコラーゲン線維の大小不同が認められる.HHLの増加がコラ-ゲン線維を相互に架橋することによって,よりコンパクトな線維束が形成されると我々は考えている. 病的結合織疾患におけるコラーゲン代謝は,その合成と分解の両面から検討必要がある.HHLは成熟型架橋と呼ばれ,コラーゲンに安定性に付与しており,その増加はコラーゲン分解抵抗性をもたらすと推定される.しかしながら,HHL形成の制御機構は不明である.現在,三次元培養系真皮モデルを用い,HHL形成に関与する生理的因子(酸素,血清濃度),増殖因子,化学物質を検討中である.
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[Publications] Yamanaka M,Ishikawa O: "Hypoxic condition decreases the mRNA expression of pro α1(I)and (III)collagen genes and increases that of matrix metalloproteinase-1 by demal fibroblasts in three-dimensional culture"J Dermatol Sci (in press). (2000)
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[Publications] Zhang L, Ishikawa O, Takeuchi Y, Yokoyama Y, Miyachi Y.: "Influences of keratinocyte-fibroblast iteraction on the expression of epimorphin by fibroblasts in vitro"J Dermatol Sci. 20. 191-196 (1999)
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[Publications] 石川治: "強皮症の特殊病型とその臨床像"日皮会誌. 109. 1834-1835 (1999)