2000 Fiscal Year Annual Research Report
伸展刺激による線維芽細胞の増殖とコラーゲン代謝におよぼす影響の研究
Project/Area Number |
10670782
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 雅章 新潟大学, 医学部, 教授 (30115000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
風間 隆 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (00204371)
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Keywords | 線維芽細胞 / 増殖 / 分化 / α-smooth muscle actin / 細胞内情報伝達 / 進展刺激 |
Research Abstract |
皮膚は関節運動やマッサージなどによる受動的進展弛緩刺激を受けている。皮膚に対するこれらの刺激の影響については不明な点が多い。本研究は進展弛緩刺激による真皮線維芽細胞の細胞増殖および分化への影響を明らかとすることを目的に行った。実験に使用した線維芽細胞は4例の良性腫瘍患者の正常皮膚から得た。ウェスタンブロット法、フローサイトメトリーおよび免疫染色により細胞のα-smooth muscle actin(SMA)の発現を検討した。同刺激は細胞のSMAの発現を抑制した。形態的に星形の進展した細胞で、SMA陽性の線維構造を豊富に持ったものの割合が減少した。この効果はTGF-β1非存在下の細胞のみならず、TGF-β1によりSMA発現が亢進した細胞においても認められ、その抑制効果は後者でより高かった。これらの結果は、同刺激により線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化が抑制されることを示す。細胞数の測定により細胞増殖に対する同刺激の効果を検討したところ、同刺激により細胞増殖を有意に亢進し、TGF-β1は同刺激とともに細胞増殖を相加的に亢進させた。進展弛緩刺激細胞の培養上清にはこれらの作用がないことから、この効果にはautocrine機構は関与していないと考えられた。genisteinによりこの同刺激の増殖促進と筋線維芽細胞抑制の両効果が阻害されたが、staurosporineないし百日咳毒では抑制は認められなかった。このことから、同刺激によるこの2つの効果における細胞内伝達機構はprotein tyrosine kinase依存性であるが、protein kinase CないしG蛋白依存性でないことが明らかとなった。
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