1998 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の皮疹発症におけるマスト細胞および抗原特異IgE抗体の意義
Project/Area Number |
10670792
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森田 栄伸 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (90182237)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / IgE / ダニ / NC / マスト細胞 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者では血清IgE高値を示す症例が多く、ヒョウヒダニをはじめとする多種類の環境抗原に対し強い即時型過敏症を示すことから、その発症機序にI型アレルギー反応の関与が推察されてきた。しかし、IV型アレルギー反応の関与を示唆する向きもあり、本症の発症機序は未だ明らかではない。本研究では名古屋大学の近藤らにより樹立され、東京農工大の松田らによりアトピー性皮膚炎モデルマウスとして提唱されたNCの発症機序を解析することにより、ヒトアトピー性皮膚炎の発症機序を明らかにすることを目的とする。平成10年度はNCの皮疹発症におけるダニ抗原特異IgEならびにマスト細胞の関与の検討を行った。 1, NCの発症におけるダニ抗原特異IgEの関与の検討 NCはSPF環境下では皮疹を発症しないが、コンベンショナル環境下では高率に皮疹を生じる。我々はコンベンショナル環境下で飼育されたマウスにしばしばみられるマウスダニに着目し、発症におけるマウスダニ抗原の関与を検討した。その結果、NCはマウスダニの感染により高率に皮疹を生じること、血清IgE値は高値を示すこと、血清中にダニ抗原特異IgEが検出されることを明らかにした。対照として用いたBALB/cおよびC57BL/6ではダニ感染により皮疹はみられなかった。 2, NCの発症におけるマスト細胞の関与の検討 SCFの遺伝子変異W^Vを有するC57BL/6-W^VをNCと13代交配し、W^Vを有するNCを得た。このマウスからW^Vをホモに有するNCを作製し、ダニ感染による皮疹の発症の有無を検討した。NC-W^V/W^Vは、変異を有さないNC-+/+に比し皮膚マスト細胞は著明に減少していたが、ダニ感染によりNC-+/+と同様に皮疹を生じた。また、血清IgE値はダニ感染により著明に上昇した。このことはNCの発症にはマスト細胞は必須ではない可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)