1999 Fiscal Year Annual Research Report
培養ヒト色素細胞の細胞運動能と樹枝状突起の形態に及ぼすEndothelinの影響
Project/Area Number |
10670802
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
赤坂 俊英 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30137525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 康記 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40244925)
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Keywords | melanocyte / 細胞運動能 / 樹枝状突起 / endothelin-1 |
Research Abstract |
melanocyteの生物学的活性は周囲の表皮細胞によって影響されると考えられる.そこで、本研究では皮膚の創傷治癒機序において重要なmelanocyteの細胞運動能、細胞運動情報伝達蛋白p125FAKの表出、細胞形態が表皮細胞より分泌されるendothelin-1によりいかに影響されるかについて明らかにした.ヒト培養melanocyteは細胞播種後活発な細胞運動(播種後9時間にピーク)することが判明した.endothelin-1(0〜10^<-8>mol)の存在によって、melanocyteの細胞運動能は濃度依存性に低下した.蛍光抗体法による観察で、p125FAKはmelanocyteの細胞辺縁にplaqueを形成して認められ、plaque数は濃度依存性に減少した.しかし、PCRでの125FAKの表出量はendothelin-1の存在により濃度に関係なく一様に低下した.一方、樹枝状突起の総長、数、樹枝状な細胞形態の細胞割合はともに増加した.従って、endothelin-1はmelanocyteの細胞形態、メラニン産生などの細胞分化を促進するが、細胞移動能や細胞増殖は抑制することが明らかにされた.これらの結果は、尋常性白斑、創傷治癒後の脱色素斑の治癒や皮膚の美白機序に関する重要な示唆を与える.melanocyteのメラニン分泌に関する報告は多いが、細胞運動能の制御に関する報告は少ない.今後さらに紫外線照射やmelanocyte stimmulation hormonなどがmelanocyteの細胞運動にいかに影響するか研究する必要がある.
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