1999 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎のheterogeneityを反映する動物モデルの樹立
Project/Area Number |
10670803
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
早川 和人 杏林大学, 医学部, 講師 (50146669)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 動物モデル / BALB / cマウス / C57BL / 6マウス / T_H1 / T_H2 / サイトカイン / 所属リンパ節細胞 |
Research Abstract |
我々は,これまでの研究でアトピー性皮膚炎の動物モデルとして確立したハプテンの繰り返し塗布による慢性皮膚炎モデルにおいて、マウスの系統を変えることにより様々なタイプの免疫反応を惹起するのに成功した. 1.昨年度の研究において、T_H2反応を生じやすいBALB/cマウスだけでなく、T_H1反応を生じやすいC57BL/6マウスにおいても、ハプテン塗布を繰り返すことにより、T_H1→T_H2タイプのサイトカイン反応へのシフトが起こることがmRNAレベルで確認された。本年度の研究において、蛋白レベルでもT_H2へのシフトが確認されるかをELISAを用いて検討した。急性期及び慢性期のBALB/c,C57BL/6マウスの耳翼皮膚を用いてIFN-γ,IL-4,IL-10レベルを測定したところ、いずれのマウスにおいても慢性化に伴いT_H2(IL-4,IL-10)反応が優位となった。個々のサイトカインレベルは、急性期、慢性期のいずれもBALB/cマウスでは著明に高値を示したが、各々のマウスのT_H1/T_H2比は系統差に関係なく比較的一定に保たれていた。とくに慢性化した場合T_H1/T_H2比は、両系統において殆ど有意な差を認めなかった。 2.急性期、慢性期のBALB/c,C57BL/6マウスより所属リンパ節細胞を摂取し、mitogen刺激による培養上清中のサイトカインレベルをELISAにて定量したところ、やはり同様に系統に関係なく慢性化に伴いT_H1からT_H2へのシフトが認められた。慢性期のリンパ節細胞の産生するサイトカインのT_H1/T_H2比も系統に関係なく比較的に一定にたもたれていた。 3.γδT細胞を遺伝的に欠失しているマウス(γδ_-)と対照マウスに、同様にハプテンの繰り返し塗布を行い、産生されるサイトカインをmRNAレベルで検討したところ、両者では有意な差は認められなかった。 以上の実験結果は、接触皮膚炎の慢性化に伴うT_H2反応へのシフトは、マウスの系統差を越えて共通して認められる現象であり、それは細胞傷害性の強いT_H1反応を緩和するための恒常性の維持に関与する合目的的な反応と考えられた。
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Research Products
(1 results)