1998 Fiscal Year Annual Research Report
不死化Paget細胞を用いたPaget細胞の性状の検討
Project/Area Number |
10670816
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
森 理 久留米大学, 医学部, 助教授 (10175630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 圭三 久留米大学, 医学部, 助手 (20229420)
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
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Keywords | 不死化細胞 / Paget細胞 / 乳房外Paget病 / 培養細胞 / ケラチン / 染色体解析 / 2次元電気泳動 / SCIDマウス |
Research Abstract |
我々が樹立した不死化paget細胞の性状を検討するため、先ず低カルシウム培地で継代培養し、epithelial membrane antigen(EMA),carcinoembryonic antigen(CEA)による免疫染色を施行した。EMAは継代を重ねても全ての腫瘍細胞で発現がみられた。一方、CEAは1%以下の細胞しか陽性所見は得られなかった。高カルシウム培地にて培養すると、不死化paget細胞はデスモゾームを発現することを、pemphigus vulgaris患者血清による免疫染色にて確認した。population doubling timeは10^3個の細胞を低カルシウム無血清培地を用いて35mm dishで培養し、経時的に細胞数を測定した。その結果、不死化Paget細胞のdoubling timeは約50時間であった。ケラチン分析を不死化Paget細胞からケラチンを抽出した後、2次元電気泳動法により施行した。その結果、Keratin subunitsのK1,K4,K5,K7,K8,K10,K18は確認できたが、K14は極く少量であった。また、不死化Paget細胞の染色分析を行った。その結果、明らかに多数の構造的karyotypic alterationが認められた。次に10^7個の不死化paget細胞をSCIDマウスの皮下に移植した。2回施行し、それぞれ半年観察したが、肉眼的にも組織学的にも腫瘍形成は確認出来なかった。 以上より、この不死化Pagct細胞はEMAを発現しCEAは殆ど発現せず、高カルシウム培地ではデスモゾームも発現することが確かめられた。この結果はCEAを殆ど発現しない事以外は乳房外Paget病におけるpaget細胞の染色所見と一致する。ケラチン解析では抗ケラチン抗休による免疫組織学的所見による観察と若干の差がみられた。すなわち、免疫組織学的に陰性とされるK1,K5,K10が2次元電気泳動でみられた。しかし、他のケラチン発現は乳房外pagct病と合致するものであった。また、SCIDマウスには腫瘍を形成出来ず、これは他の不死化細胞と同様であった。
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