2000 Fiscal Year Annual Research Report
びまん性大脳白質病変の病態の研究-剖検脳MRIと拡散強調画像を用いた検討-
Project/Area Number |
10670850
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小川 敏英 鳥取大学, 医学部, 教授 (00125709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大濱 栄作 鳥取大学, 医学部, 教授 (50018892)
兒玉 富美子 鳥取大学, 医学部, 助手 (50304225)
木下 俊文 鳥取大学, 医学部, 講師 (70314599)
|
Keywords | MRI / 拡散強調画像 / leuko-araiosis / 脳血管障害 / アルツハイマー型老年痴呆 |
Research Abstract |
脳血管性痴呆4例、アルツハイマー型痴呆4例、intravascular lymphomatosis(IVL)1例に対してMRI・T2強調像と拡散強調像を施行した。拡散強調像はb=1000sec/mm^2にてMPGを体軸方向、左右方向、前後方向に印加して撮像し、MPGを印加しないb=0の画像を得て、拡散強調像(trace画像)、ADC map、anisotropyを得た。脳血管性痴呆症例ではT2強調像にて大脳深部白質に高信号域が広範に広がり、拡散強調像にて信号上昇はみられず、ADCは有意に上昇し、anisotropyにて拡散異方性の低下がみられた。アルツハイマー型痴呆では深部白質のT2強調像の信号上昇は軽度で、拡散強調像での信号、ADCに顕著な変化はみられなかった。IVLではT2強調像にて大脳半球深部白質に広範にひろがる高信号域が認められ、拡散強調像ではT2強調像の高信号域に一致して信号の上昇がみられた。深部白質のADCはやや上昇し、拡散異方性は低下した。拡散強調像の信号の上昇はT2 shine throughによるものと考えられ、IVLのADCの上昇の程度は脳血管性痴呆症例に比して軽度であった。剖検脳と病理組織所見との対比により脳血管性痴呆の高信号病変は深部白質の髄鞘の淡明化と有髄線維の減少に対応した。IVLの深部白質の高信号病変は梗塞(anemic infarct)の像に対応し、悪性リンパ腫細胞は全脳の血管(動脈、毛細管、静脈)内に限局して観察され、血管外脳実質にはみられなかった。脳血管痴呆ではニューロンの減少や髄鞘の消失を反映し、ADCが上昇して異方性拡散の障害をきたすと考えられる。IVLでは梗塞を反映してADCが上昇し、拡散異方性は低下するが、全脳の血管の腫瘍塞栓が微小循環や組織潅流の障害をきたしてADCの上昇を抑えたと考えられる。拡散強調像は脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の白質病変の鑑別、T2強調像にて血管障害に類似する所見を呈するIVLの診断に有用であることが示唆される。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 木下俊文,小川敏英,杉原修司,児玉富美子,小濱栄作 他: "Intravascular lymphomatosisの大脳白質病変のMRI所見-Binswanger病との相違点-"第30会日本神経放射線学会プログラム・抄録集. 129 (2001)
-
[Publications] 木下俊文,小川敏英,宮田元,大濱栄作: "脳血管障害の画像診断-白質の変化-"中外医学社(印刷中).