1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670860
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林 邦昭 長崎大学, 医学部, 教授 (80039536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 功 長崎大学, 医学部, 助教授 (70187475)
坂本 一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (00225806)
松岡 陽治郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (80181709)
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Keywords | 大動脈解離 / penetrating atherosclerotic ulcer / 大動脈瘤 / 大動脈粥状硬化 |
Research Abstract |
本年度は、大動脈解離とその関連疾患特にいわゆるpenetrating atherosclerotic ulcer(PAU)の症例を集め、臨床的・画像的に検討した。全29例の中でPAUの診断基準を満たす12例について詳しい検討を行った。12例の内訳は、男性10例、女性2例であり、年齢は65-77歳(平均72歳)である。PAUの診断基準としては、65歳以上であること、CT上、大動脈壁の高度の石灰化や大動脈瘤の合併などの粥状硬化性変化の所見があること、及び大動脈壁内血腫で発症し、胸部下行大動脈以下に内腔から連続する限局性の突出像を認めるの3点である。全例、発症から4日以内にCTが施行されており、その後の経過観察もCTを中心に行った。血管造影は5例に、MRは3例に施行されている。 次のような結果が得られた。 1) 全症例に高血圧の既往があった。 2) 破裂し死亡した2例はいずれも発症後1ケ月前後であり、出血などにより手術を施行された4例もその期間内であった。逆にこの期間を乗りきったものは1例を除き現在も生存している。 3) 死亡した症例はいずれもPAUは下行大動脈にあった。 4) PAUの深さの経時的検討によると、PAUは発症後約1ケ月間は比較的急速に増大した。手術死亡例を除き経過観察をなしえた症例ではその後増大傾向はなく、しかも1例ではPAUは消失した。PAUの発症時及び1ケ月後の深さは予後と明らかな関連はなかった。 5) PAUの辺縁については死亡群、手術群ではより不整なものが多かった。 6) 大動脈径と予後との関連は明らかでなかった。 7) 発症時の胸水の有無と量は様々であったが、約1ケ月後では死亡群、手術群では全例胸水が見られたのに対し、予後良好群では1/6例のみ胸水が見られた。
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