1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670863
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10235153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10173098)
大内 敦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70168863)
永倉 久泰 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80244359)
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Keywords | 放射線感受性 / 免疫組織染色 / DNA-PK |
Research Abstract |
DNA2重鎖切断修復に関わる蛋白の発現の検討 『目的』放射線治療に用いられるX線により引き起こされるDNA障害の中でX線照射された細胞の生死に最も重要な障害は、DNA2重鎖切断である。よって、その細胞のDNA2重切断の修復能と放射線感受性は相関することが予想され、実際、様々な培養細胞を用いた実験でそれが証明されている。真核生物のDNA2重鎖切断修復は、non-homologous end-joining(NHEJ)が主体で行われ、DNA-PKcs、Ku70、Ku80からなるDNA-PK(DNA依存性プロテインキナーゼ)、XRCC4、NBS1はそのNHEJにおいて中心的な役割を担っている。そこで、放射線感受性の異なる癌及び正常組織において、上記蛋白の発現を検討した。 『方法』放射線感受性の癌としては、肺の小細胞癌、横紋筋肉腫(infantile type)、精上皮腫、非ホジキンリンパ種、放射線感受性が中等度の癌としては、頭頸部の扁平上皮癌、乳癌、放射線抵抗性の癌としては、脳の膠芽細胞腫、悪性黒色腫、骨肉腫、肝細胞癌、膵臓癌、正常組織としては、精管、副腎、肝臓、膵臓、乳腺の合計134例の組織標本を用いた。4μm厚の薄切切片をスライドグラス上でABC法にて反応させ、DABで発色させた。一次抗体には、DNA-PKcs、Ku70、Ku80、XRCC4、NBS1のモノクローナル抗体、あるいは、ポリクローナル抗体を用いた。 『結果』免疫組織染色を施行した癌及び正常組織全例において、DNA-PKcs、Ku70、Ku80、XRCC4、NBS1蛋白全ての発現が確認された。Ku70、Ku86、DNA-PKcsはモノクローナルあるいはポリクローナル抗体いずれを用いても、細胞核のみが染色されたのに対し、XRCC4、NBS1は細胞核及び、細胞質が染色された。この6種類の蛋白の発現は、正常組織と癌組織で明らかな差がみられなかった。また、放射線感受性の異なる腫瘍間では、非ホジキンリンパ種では、6種類の蛋白いずれに関しても、染色性が弱く、はっきりした染色がみられない細胞が20-30%程度みられた。しかし、他の腫瘍では、この6種類の蛋白の発現に明らかな差がみられなかった。 『考察』放射線感受性が異なる癌細胞間で、非ホジキンリンパ種を除いて、DNA-PKcs、Ku70、Ku80、XRCC4、NBS1の発現に差が見られなかったのは、(1)免疫組織染色の感度が低く、放射感受性の原因となる6種類の蛋白の発現の微妙な差を感知できなかった。(2)免疫組織染色では、6種の蛋白の発現をみているのみで、その機能をみているわけではない。よって、発現は同じでも機能が異なり、それが放射線感受性の差を引き起こしている可能性が考えられる。
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