1999 Fiscal Year Annual Research Report
予備加温が誘導したストレス蛋白はストレスから生体を守る-温熱療法の新臨床応用-
Project/Area Number |
10670876
|
Research Institution | AICHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 要子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60065597)
|
Keywords | ストレス蛋白 / HSP 70 / DIS / 細胞防御作用 / 予備加温 / 筋疲労 / 31P-MAS |
Research Abstract |
予備加温により誘導されたHSP70は細胞を種々のストレスか防御する細胞防御作用がある。昨年は細胞に出来る限り障害が無く、かつ効果的にHSP70を誘導する加温法を検討するため、4回の繰り返し加温によるHSP70の誘導を検討した結果、1回加温が最大であった。そこで、本年度はマウス1回全身加温によるDICの防御効果野検討およびマウス下肢筋局所加温による筋疲労の防御効果を検討した。 1)マウス全身加温によるLipppolysaccaride(LPS)によるDICの防御 37℃のincubatorでマウスを30分全身加温(直腸温:40-41℃)後、1、2、7日後にLPSを腹腔内投与し、DICからの生存率を測定した。対照群は23%、加温1日後は33%、加温2日後は45%、加温7日後は20%であった。予備加温2日後に最大にHSP70が誘導されDICから防御され生存率が増加したと思われる。 2)マウス下肢局所予備加温による下肢筋疲労の防御 マウス下肢局所を41℃30分予備加温し、1,2,7日後、再度下肢を47℃で加温し、下肢筋のエネルギー代謝を31P-MRSで測定した。その結果、47℃加温のみでは10分後より無機リンが出現し、40分後にはクレアチンリン酸、ATPが枯渇し、無機林のモノピークとなり完全疲労を示した。予備加温1日後では60分後にエネルギーは枯渇し完全疲労を示し、2日後では60分後でもエネルギーは残存し完全疲労しなかった。7日後では予備加温の効果はなく、40分後に完全疲労を認めた。下肢筋のHSP70は2日後が最大であった。以上の結果より、予備加温により誘導されたHSP70により、DIC,疲労が抑制された。 なお、当初の予定であったHSP70の肝切除(手術)に対する生体防御作用については、これを実施したが、回復過程の31P-MRS測定が手技上困難であったため、HSP70の筋疲労防御作用を実施した。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "天然β-カロテンはストレス蛋白(HSP70)を誘導する"医学の歩み. 189巻11号. 919-920 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "熱ショック蛋白(ストレス蛋白)(HSP70)を誘導する"日本臨床(広範囲、免疫・尿化学検査、免疫学的検査). 57巻:臨増刊. 266-268 (1999)
-
[Publications] Y. H. Itoh, et al.: "Pre-treatment with mild whole-body heating prevents gastric ulcer induced by restraint and water-immersion stress in rats"Int J. Hyperthermia. Vol.16. (2000)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "マウス全身加温によるストレス蛋白(HSP70)の発現の変化"第38回生物部会学術大会抄録集. 抄録集. 12 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "マウス全身加温によるストレス蛋白(HSP70)の発現 -4回繰り返し加温による影響-"日本ハイパーサーミア学会誌. 15巻:増刊. 232-233 (1999)
-
[Publications] 菊池有順 他: "末梢血リンパ球のストレス蛋白(HSP70)は生体のストレス指標となるか"Int.J.Hematology. Vol.69:Supp. 141 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "マウス繰り返し加温によるストレス蛋白(HDP70)発現の変化"第15回東海ハイパーサーミア懇話会 プログラム. プログラム. 2 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "ヒト血管内皮細胞および繊維芽細胞のAgingとストレス蛋白(HSP 70)の誘導"Int. J. Hematology. Vol.69:Supp. 245 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "血管内皮細胞の継代培養における加齢とストレス蛋白(HSP 70)の発現"血栓止血学会誌. 10巻5号. 388 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "ヒト繊維芽細胞および血管内皮細胞の加齢に伴うストレス蛋白(HSP 70)の誘導変化"第38回生物部会学術大会抄録集. 抄録集. 18 (1999)
-
[Publications] 伊藤要子 他: "ヒト繊維芽細胞および血管内皮細胞のAgingにおける温熱感受性とストレス蛋白(HSP 70)の発現"日本ハイパーサーミア学会誌. 15巻:増刊. 230-231 (1999)