1998 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス性精神障害の発症機序・治癒過程に関与する転写因子機能の解明
Project/Area Number |
10670888
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森信 繁 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30191042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 忍 山形大学, 医学部, 講師 (00211178)
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Keywords | CREB / Calcineurin / Paroxetin / desipramine / Org4428 |
Research Abstract |
cAMP response element binding Protein(CREB)phosphorylation 急性拘束ストレス負荷による、ラット大脳皮質・海馬内CREBリン酸化への影響をimmunoblotを用いて測定したところ、拘束45,90分間で有意なリン酸化亢進を検出した。ストレスによる脆弱性と大脳皮質・海馬内CREBリン酸化の関係を検討したところ、慢性過密飼育ストレスにて体重増加が鈍い群では拘束ストレスによるCREBリン酸化が著明に亢進しており、体重増加に変化のない群でのCREBリン酸化は前者に比して軽度であった。抗うつ薬paroxetin急性投与30分後にて、ラット大脳皮質・海馬内CREBリン酸化も同様に亢進することが分かった。 Calcineurin expression ラット大脳皮質前頭部・海馬のcalcineurin mRNA発現を測定したが、急性拘束ストレス(15,45,90分間、45分間ストレス後30,60分)のいずれの条件下でも、Northern blot hybridizationによるcalcineurin mRNA発現に変動はみられなかった。慢性拘束ストレスによるラット大脳皮質・海馬のcalcineurin mRNA発現も、変動は見られなかった。抗うつ薬desipramine,Org4428投与2時間後、1,2週間投与で、ラット大脳皮質前頭部・海馬のcalcineurin mRNA発現を測定したが、発現に変化はみられなかった。 以上の結果は、1)転写因子CREBのリン酸化による活性化が、ストレス刺激や抗うつ薬投与にて引き起こされる、2)これらの処置によってCREBの脱リン酸化を司る酵素calcineurinの発現に、変動は起こらなかった、3)ストレス・抗うつ薬投与によるラット大脳皮質前頭部・海馬でのCREBリン酸化亢進は、脱リン酸化酵素発現低下による結果ではない、などが明らかになったと思われる。
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