1999 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症におけるD2,D4受容体遺伝子多型と臨床的特徴についての研究
Project/Area Number |
10670890
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 大彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90292911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 正人 群馬大学, 医学部, 助教授 (20221533)
染谷 利一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30301104)
加藤 忠史 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30214381)
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Keywords | 自閉症 / DNA / PCR / D2 / D4 / 多型性 / 症状評価 |
Research Abstract |
今回の研究では、自閉症における受容体遺伝子の多型性を疾患の修飾因子として検討した。対象とした自閉症は、都内の作業所に通所している自閉症と、東大病院に通院中の患者であり、東京大学医学部研究倫理委員会で承認された手順に従って文書で同意を得た。全例について面接を行い、DSM-IVにもとづいて診断した。検索した遺伝子は、自閉症状に関与している可能性があるドーパミン受容体の細胞質内第3ループ内に存在する48bpの繰り返し配列によるD4受容体の多型性と、ドーパミンD2受容体の3'noncoding領域でexon8より約5kb下流に存在するTaqIA部位、同じくD2受容体の5'noncoding領域でexon1より約900bp上流に存在するTaqIB部位の多型性である。被検者から得た静脈血からDNAを分離して、PCR法による目的部位の増幅を行い、電気泳動によって観察した。また、質問紙を使用して両親のいずれかによる症状評価を行い、面接時には簡単な発達水準の評価も行った。D2受容体のTaqIA部位の遺伝子頻度は、55例中TaqIの認識配列を持たないもの43%に対して持つものが57%、同じくTaqIBでは37例中36%と64%であった。D4については、2回、3回、4回、5回、6回、7回繰返し配列が61例中それぞれ13%、1%、84%、2%、0%、0%であった。これらは、これまで報告されている一般日本人集団における遺伝子頻度とほぼ同じものであり、今回検索した多型性が自閉症の発症と関連しているとは認められなかった。症状評価からは、発達水準に偏りがあるため不明確ではあるが、成人期の発達水準と無関係に幼少時から成人にかけて改善しやすいと思われる症状として情緒的反応が、変化しにくいと思われる症状として自傷行為の有無が認められ、自閉症の異種性の存在の可能性が示唆された。
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