1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳のシグマ受容体のクローニングと精神分裂病動物モデルにおける役割の研究
Project/Area Number |
10670901
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
氏家 寛 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (90213420)
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Keywords | ラット / 脳 / シグマ受容体タイプ1 / メッセンジャーRNA |
Research Abstract |
昨年、クローンしたラットシグマ受容体タイプ1のcDNAを用いて、その塩基配列から、3ヶ所で(翻訳領域、3'側および5'側の非翻訳領域)に45merのoligonucleotideのantisenseをコンピューターで設計し、^<35>Sで標識し、in situ hybridizationした。しかし、明らかなシグナルを捕らえることはできなかった。そこで、脳のホモジネートからのtotal RNAを用いて、Northern blotを作成し、クローンした全長を用いて、randome prime法により、^<32>Pでラベルし、hybridizationしたが、これでも明らかなバンドは得られなかった。これらの結果は、ラットシグマ受容体タイプ1のメッセンジャーRNAの発現が非常に少ないということを意味しており、より感度の高い方法に変更する必要が生じた。クローンしたラットシグマ受容体タイプ1のcDNAをSP6プロモーターを有するベクターに入れ直し、これをクローンし直した。このベクターを直線化し、ラットシグマ受容体タイプ1のリボプローブを作成し、hybridizationを現在試みている段階である。 また、ラットシグマ受容体タイプ1のメッセンジャーRNAの発現をその蛋白である受容体そのものの分布と比較するために、ラットシグマ受容体タイプ1の受容体結合実験をラット脳を用いて行った。リガンドには受容体サブタイプ1に選択性が最も強い[3H]pentazocineを用いて、autoradiographyを行った。その結果、皮質、海馬、赤核などに多く分布することがわかったが、これまでのguinea pigに比べて、その受容体密度が低く、蛋白レベルでもラット脳にはシグマ受容体タイプ1の発現は比較的少ないことが分かった。
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[Publications] 氏家 寛: "薬物・アルコール関連障害、神経化学的側面"臨床精神医学講座. 8巻. 55-73 (1999)
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[Publications] 氏家 寛、児玉匡史: "逆耐性現象において神経回路網の再構築は生じているのか?"日本神経精神薬理学雑誌. 19. 47-52 (1999)
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[Publications] 氏家 寛: "中枢興奮薬による精神障害の生物学的機序"薬物依存研究の最前線. 31-55 (1999)