1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期及び新生児期の母仔環境が成長後の生体調節系に及ぼす影響に関する基礎研究
Project/Area Number |
10670905
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野崎 剛弘 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60301339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 千春 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80117100)
|
Keywords | 母仔分離 / 胎生期過密ストレス / 学習記憶行動 / 攻撃行動 / コルチコステロン / テストステロン / セロトニン受容体 |
Research Abstract |
1.胎生期過密ストレスおよび乳児期母仔分離が学習記憶行動に及ぼす影響 T字型迷路を用いて、胎生期過密マウスと乳児期母仔分離マウスの空間認知力を評価した。胎生期過密群は妊娠期を過密ケージで過ごした母親から生まれたマウスであり、母仔分離群は出生後5日から22日まで毎日1時間、母親および同胞から分離して飼育されたマウスである。空間認知力は、胎生期過密群では7週令で対照群との間に差はなかったが、20週令で有意に低下した。母仔分離群では7週令、20週令のいずれも対照群との間に差はなかった。血清コルチコステロンは、胎生期過密群では過剰分泌傾向にあり、母仔分離群では抑制されていた。以上から、胎生期過密群における空間認知力の低下と副腎皮質ホルモンの関連が示唆された。 2.乳児期母仔分離が仔の攻撃行動に及ぼす影響 出生後早期に母仔分離を行ったマウスを用いて、成長後の攻撃行動の発現について検討した。思春期〜青年期の雄性マウスに攻撃行動が発現し、その攻撃性は経時的に増強した。25日令の母仔分離マウスの下垂体と副腎重量は有意に減少していた。また成長後の血清テストステロンは有意に上昇したが、血清コルチコステロンの分泌は低下していた。大脳内5-T_<1A>受容体密度は、母仔分離群と対照群間で6週令、27週令いずれにおいても差はみられなかった。5-HT_2受容体密度も両群間で差はなかった。今回は大脳全体での測定のため、差が出なかった可能性がある。以上より、母仔分離マウスの攻撃行動には、視床下部-下垂体-副腎系およびテストステロンが関与している可能性が示唆されたが、中枢セロトニン系の関与は明らかではなかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Nozaki T et al.: "Maternal deprivation induces aggressive behavior in male mice"Kor J Stress Res. 7. 41-46 (1999)
-
[Publications] Takii M et al.: "Differences between bulimia nervosa and binge-eating disorder in females with type 1 diabetes : the important role of insulin omission"J Rsychosom Res. 47. 221-231 (1999)
-
[Publications] Sudo N et al.: "Dietary nucleic promote a shift in Th1/Th2 balance toward Th-1-dominant immunity"Clin Exp Allergy. (accepted). (1999)