1998 Fiscal Year Annual Research Report
SPECTによる精神分裂病患者における抗精神病薬のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
10670922
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
地引 逸亀 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60110532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利波 久雄 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (70139773)
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Keywords | 精神分裂病 / SPECT / 局所脳血流 / rCBF |
Research Abstract |
目的:未治療の(drug-naive)精神分裂病患者を対象として、種々の抗精神病薬の慢性投与による脳への作用をSPECTによる局所脳血流(rCBF)の変化を指標として探る目的で、今回はハロベリドールの経口投与による作用を検討した。 対象と方法:現在までに施行できた未治療の精神分裂病患者は4例(男性1例36歳、女性3例19-30歳、罹病期間3-10年)で、初診時の精神病像については全例で幻覚・妄想状態(幻聴や奇異な被害関係妄想が主体)がみられた。全例でSPECT検査施行に先立ち、患者本人と保護義務者に研究の主旨を説明し、両者から文書で同意を得た。なおSPECT検査の費用は全額本科研費で負担した。方法は初診日または初診後2-3日以内でPANSSによる精神症状評価と第1回目の安静覚醒時における^<99m>Tc-HMPAOによるSPECT検査を施行した。その後、ハロペリドール4.5mg/day(症例によっては2.25mg/dayより漸増)、ビペリデン3mg/dayを経口投与し、また症例によっては睡眠薬(主にハルシオン0.25mg/day)を眠前に投与した。これらの服薬を2週間続けた後、再度PANSSによる精神症状評価と第2回目の安静覚醒時における^<99m>Tc-HMPAOによるSPECT検査を施行した。 結果と考察:解析がまだ十分ではないので詳細な結果を記載できないが、現在の段階で明らかな所見は、ハロペリドールの投与前後のSPECT画像の解析で、左右の大脳半球の平均rOBF値の有意な減少(5ml/100g/min以上の減少)が4例中3例にみられたことである。この所見は過去に我々が行ったハロペリドールの急性投与(筋注)によるSPECTのrOBF変化に関する研究で、大脳皮質の全般的なrOBFの低下がみられた所見と一致する。今後さらに例数を増やし、個々の脳部位に対するハロペリドールの作用の差違や、それと精神症状との相関の有無についても解析する予定である。
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