1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670925
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 純 産業医科大学, 医学部, 教授 (40148804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 治 産業医科大学, 医学部, 助手 (70248558)
吉村 玲児 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248568)
寺尾 岳 産業医科大学, 医学部, 講師 (80217413)
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Keywords | せん妄 / 評価尺度 / 血漿MHPG / ナチュラルキラー活性 |
Research Abstract |
現在、せん妄患者の発症要因を検討する目的で、産業医科大学倫理委員会の承認を得て第2外科の心疾患手術患者を対象にプロスペクテイブな研究を継続している。現在まで集積した症例は7例で、せん妄出現群(N=3)と非出現群(N=4)との間で血中モノアミン代謝産物、ナチュラルキラー細胞活性値(NK値)の変化について比較検討した。その結果、せん妄出現群はせん妄非出現群と比較し、手術前よりノルアドレナリンの代謝産物であるpMHPGが有意に高く(15.4±3.2:7.1±3.2ng/ml)、p5-HIAA,pHVAには差を認めなかった。また、せん妄出現群では、非出現群と比較して、手術前のNK値が低かった(36±2:45±18)。したがって、ノルアドレナリン神経系の過活動状態の人は不安水準が高く、免疫力が低いためにせん妄が起こり易いのではないかと推定される。せん妄出現後の経過についても検討しているが、麻酔薬や術後の状態回復のためにさまざまな薬物が投与されているため、より症例を集積して最終的な結論をだしたいと考えている。先行研究において、せん妄出現群ではせん妄出現時pMHPGがが高く、せん妄が回復してくると低下してくることを明らかにしたが、もともとpMHPGが高く、NK値が低い人にせん妄が起こりやすいということが確かめられれば、手術のQOLを考える上でこれらがせん妄発症の生物学的指標になる可能性があるのではないかと思われる。
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