1998 Fiscal Year Annual Research Report
IL-6によるヒト未熟骨髄腫細胞の増殖に及ぼすCD19分子の関与について
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10670952
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 秀明 山口大学, 医学部, 助教授 (40294623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 龍一 山口大学, 医学部, 助手 (30264401)
河野 道生 山口大学, 医学部, 教授 (40161343)
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Keywords | 骨髄腫 / CD19 / IL-6 / STAT3 / MAPK / 細胞増殖 / 刺激伝達 / SCIDマウス |
Research Abstract |
IL-6に反応して増殖するヒト未熟骨髄腫細胞株U266を用いて、IL-6処理後の情報伝達経路を調べたところ、IL-6刺激後STAT3並びにMAPK(ERK1/2)の活性化が誘導さた。MAPKに関してはキナーゼアッセイでも同様の結果が得られた。アンチセンスオリゴヌクレオチド添加によりMAPKの発現を抑えると、IL-6によるU266の細胞増殖は完全に抑制されたことより、MAPKの活性化がIL-6による骨髄腫細胞の増殖に重要であることが示された。PI3キナーゼ(PI3-K)の特異的阻害剤であるWortmanninでU266を前処理した後IL-6による刺激伝達を調べると、STAT3の活性化は全く影響を受けないのに対し、MAPKの活性化は1/2に減少していたことから、PI3-KがMAPKの上流でその活性化に寄与していると考えられた。IL-6に反応して増殖する骨髄腫細胞が総じてCD45分子を発現していることより、CD45チロシンフォスファターゼの基質であるsrc型チロシンキナーゼのチロシンリン酸化及びCD45との結合を調べると、LynだけがCD45と結合しており、しかもそのチロシンリン酸化が上昇していた。LynのIL-6刺激伝達系における関与を今後検討する予定である。 骨髄腫細胞は形質細胞と異なりCD19分子を発現していない。ヒト骨髄腫細胞株KMS5にCD19を遺伝子導入した安定形質転換株を樹立し、その増殖動態をコントロールと比較したところ、in vitro増殖能、SCIDマウスの皮下に移植するin vivo造腫瘍能、軟寒天培地中の足場非依存性増殖能のいずれにおいてもCD19発現株では著明な低下が認められた。これらの結果からCD19分子は骨髄腫細胞の増殖を負に制御していると思われた。現在U266にCD19を遺伝子導入し、安定形質転換株の樹立を試みており、IL-6からの刺激伝達にCD19がどう関与しているのか今後検討する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Mahmoud,M.S.: "Induction of CD45 expression and proliferation in U-266 myeloma cell line by interleukin-6." Blood. 92・10. 3887-3897 (1998)
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[Publications] Ishikawa,H.: "Biological significance of hetegrogeneity in human myeloma cells." Int.J.Hematol.68・4. 363-370 (1998)
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[Publications] Fujii,R.: "MPC-1^- CD49e^- immature myeloma cells include CD45^+ subpopulations that can proliferate in response to IL-6 in human myeloma cells." Br.J.Haematol.105. in press (1999)
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[Publications] 石川 秀明: "形質細胞の腫瘍化とPax-5遺伝子" 血液・腫瘍科. 36・5. 440-448 (1998)
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[Publications] 石川 秀明: "Pax-5とB細胞の分化" アレルギー科. 6・1. 63-69 (1998)
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[Publications] 石川 秀明: "多発性骨髄腫 増殖動態研究の進展" 血液・免疫・腫瘍. 3・4. 105-110 (1998)
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[Publications] 石川 秀明(分担): "別冊・医学のあゆみ 血液疾患 Ver.2 -state of arts" 医歯薬出版, 3 (1998)
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[Publications] 石川 秀明(分担): "Molecular Medicine 臨時増刊号 症候・病態の分子メカニズム" 中山書店, 2 (1998)