1998 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSFによる細胞増殖および分化に関与する刺激伝達物質遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
10670954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡村 精一 九州大学, 医学部, 講師 (20136435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊宏 九州大学, 医学部, 医員
下田 和哉 九州大学, 医学部, 助手
浅野 嘉延 九州大学, 医学部, 助手 (60271110)
中島 衡 九州大学, 医学部, 助手 (70188960)
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Keywords | G-CSFレセプター / G-CSF / 細胞増殖 / 刺激伝達機構 / JAKキナーゼ / 遺伝子発現 / フローサイトメトリー / マウス白血病細胞株 |
Research Abstract |
顆粒球コロニー刺激因子(granulocytecolony-stimulating factor:G-CSF)は好中球の増殖,分化・成熟を調節している.この調節はG-CSFが細胞膜上でG-CSFレセプターに結合した後の細胞内刺激伝達系により伝達される.その増殖と分化・成熟の各々の刺激伝達には,広く分布するJak-Stat系やRas-MAPキナーゼ系が関与するが,これのみではG-CSFの特異性を説明出来ない. そこで,G-CSF刺激後早期に変動する増殖あるいは分化刺激伝達に関与すると考えられる蛋白の遺伝子を同定する.すなわち,G-CSFレセプターを有していないマウスBAF3細胞(proリンパ系),LGM1細胞,CTLL2細胞(Tリンパ系)にG-CSFレセプター遺伝子導入し,G-CSFに対する反応性の違いをマーカーとして各々の機能に関連する遺伝子を同定しクローニングを試みている. まず,発現ベクターに入れたG-CSFレセプターを作成した.これがマウスLGM1細胞などへは高効率で導入出来たことを確認した.クローン化されたG-CSFレセプター遺伝子をマウスCTLL2細胞に導入し,その発現をフローサイトメトリー,ウエスタンプロットで確かめている. BAF細胞がG-CSF刺激で強く増殖されにのに反し,マウスCTLL2細胞は増殖を認めない.このため2つの細胞で増殖・分化刺激伝達に重要と考えられるJakキナーゼ(Jak1,Jak2,Tyk2)のリン酸化の差を検出するためin vitro kinase assayで検索している. G-CSF依存性に増殖するマウス細胞株NSF60から得られたcDNAライブラリーを発現ベクターに組み込み,上記のCTLL2細胞に遺伝子導入し,G-CSFのみの存在下で増殖可能な細胞,すなわち,G-CSFの増殖シグナル伝達に必要な遺伝子(群)が導入された細胞,を選択中である.
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[Publications] Shibata S.: "Analysis of the granulocyte colony-stimulating factor receptor gene structure using PCR-SSCP in the myeloid leukemia and myelodysplastic syndrome." European Journal of Haematology. 60. 197-201 (1998)
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[Publications] Asano Y.: "Action of interleukin-3 on the proliferation of liukemic progenitor cells from patients with acute myeloblastic leukemia." Clinical Laboratory Haematology. 20. 225-229 (1998)
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[Publications] Tokunaga Y.: "Effects of thrombopoietin on proliferation of blasts from CD7-positive actute myelogenous leukemia." British Journal of Haematology. 102. 1232-1240 (1998)
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[Publications] Asano Y.: "Effect of interleukin-10 on the hematopoietic progenitor cells from patients with aplastic anemia." Stem Cell,. 印刷中. (1999)
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[Publications] 福嶋恒太郎: "HLA適合血小板輸血が奏効した骨髄異形成症候群合併妊娠の1例." 日産婦誌. 50(10). 781-785 (1998)
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[Publications] 岡村精一.: "好中球アクチン機能異常症" 日本臨床(領域別症候群シリーズno.21)別冊. 73-75 (1998)
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[Publications] 岡村精一: "ホジキン病の組織分類,病期分類." カレントテラピー. 16(12). 2180-2185 (1998)
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[Publications] 広田雄一: "ハイリスク悪性リンパ腫." 日常臨床と血液. 8(11). 1425-1431 (1998)
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[Publications] 岡村精一: "白血球減少症;症候・病態の分子メカニズム." Molecular Medicine. 35(増刊号). 270-271 (1998)
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[Publications] 岡村精一: "無症候性白血球増加症." 日本医事新報. 3903. 108-109 (1999)
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[Publications] 岡村精一: "砒素中毒による血液異常." 福岡医学会雑誌. 90(2). 33-38 (1999)
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[Publications] 岡村精一: "薬剤による貧血." 診断と治療. 印刷中. (1999)
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[Publications] 岡村精一: "顆粒球コロニー刺激因子と顆粒球造血:内科学進歩のトピックス." 九州大学出版会,福岡, 3 (1998)
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[Publications] 岡村精一: "G-CSFレセプター異常と好中球減少症:Annual Review 血液1998." 中外医学社,東京, 17 (1998)
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[Publications] 岡村精一: "G-CSF受容体異常:KEY WORD血液" 先端医学社,東京, 2 (1998)
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[Publications] 松口徹也: "免疫と凝固の交差点-二つの顔を持つ補体結合蛋白C4bp-:内科学進歩のトピックス" 九州大学出版会,福岡, 3 (1998)