1998 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症 (PNH) における造血幹細胞の増殖異常
Project/Area Number |
10670957
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中熊 秀喜 熊本大学, 医学部, 講師 (90207746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 辰哉 熊本大学, 医学部, 助手 (50244116)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症 / 幹細胞 / 腫瘍性増殖 / 遺伝子 |
Research Abstract |
PNHは造血幹細胞の後天性変異に起因し、正常細胞を凌駕するクローン性増殖、高率の白血病発生を特徴とする。このために前白血病状態として白血病発生の分子過程の研究の格好のモデルになる。既に我々はマウスへの移植実験によりPNHクローンの内因性増殖異常を検出している。そこで、この増殖異常関連の遺伝子を目標に、まず、PNH患者および健常人由来の培養リンパ細胞を調整し、次に、mRNA Differential Display法を用いて、PNHと正常細胞間に発現差を示す遺伝子をスクリーニングし60個の断片を得た。これらをプローブとしたノーザン解析で発現差が最も明確な断片1個を得て、血液細胞cDNAライブラリーを利用した5'RACE法を行い、cDNAの全塩基配列を決定した。これはPNH株細胞にのみ発現する約700bPの遺伝子で、ロイシンジッパーなど転写因子様のモチーフを有していた。さらに、インターフェロンに誘導される遺伝子の一つであること、機能に関しては全くの未知であることなどが判明した。興味深いことに、この遺伝子は、末梢血球を用いてもPNH選択的にクローニングされてきたことから、病的遺伝子である可能性が高いと考えている。他に、ポリアミン代謝関連酵素の一つSpermidine/spermine N1-acetyltransferaseとホモロジーの高い遺伝子も単離された。現在、遺伝子構造、発現調節、PNH細胞における異常、増殖異常や臨床病態との関連などの解析を進めている。
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