1998 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞のMAPキナーゼの恒常的活性化-その機序と意義の解明に関する研究
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10670966
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
室橋 郁生 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (90182146)
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Keywords | ERK1 / ERK2 MAPキナーゼ / アポトーシス / protein kinase C / PI3-キナーゼ / Aktキナーゼ |
Research Abstract |
腫瘍細胞では正常細胞と比較してmitosisが亢進するか、アポトーシスの発現が低下するか、その両者が同時に起こり腫瘍細胞の総量が増大すると仮定される。造血細胞のアポトーシスを抑制するシグナル伝達系として、ERK1/ERK2 mitogen-activated protein kinase(MAPK)、protein kinase C(PKC)、P13-キナーゼ-Akt-キナーゼの系が重要と考えられる.DrosophilaのMAPKはアポトーシス誘導遺伝子であるhead involution defective(hid)の発現を抑制する事が示された(cell 95:331,1998)。本年度は造血器腫瘍に於いて、アポトーシス抑制シグナル伝達系に焦点を当てて検討を行った。 70例のリンパ系腫瘍のMAPK活性、PKC、Aktキナーゼ、IP3を測定した(T Takahashi et al.Blood 92:376a,1998)。正常リンパ球と比較して、全例でMAPKは有意な高値であったがPKC、IP3の増加はなかった。Aktのリン酸化は78%の症例でみられた。 リンパ系腫瘍症例のうち、11例の多発性骨髄腫のMAPK活性と臨床的特徴との相関性を比較した(T Takahashi et al. J Saita Med School 26:1999,in press)。MAPK活性はbeta-2-ミクログロブリン、チミジンキナーゼ等と比較して治療反応性、生存期間、骨破壊の程度、高Ca血症とよりよい正の相関を示す事が明らかとなった。 急性骨髄性白血病(AML)25症例、造血因子依存性AML細胞株に於けるMAPK活性と増殖、アポトーシス発現との関係を検討した(I Murohashi et al.Blood 92:159b,1998)。アポトーシスを抑制して増殖を促進するサイトカン(G-CSF,Il-3,SCF,flt-3L)はMAPK活性を有意に増強した。MAPK活性が高値の症例はautomousな増殖を示す事も明らかとなった。以上から造血器腫瘍の増殖にはMAPK活性が重要であることが確認された。今後はMARPの標的蛋白の同定を集中的に検索したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takashi Takahashi: "Constitutive activation of ERK1/ERK2 mitogen-activated protein kinase (MAPK) in multiple myeloma" J Saitama Med School. 26.(in press). (1999)
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[Publications] Takashi Takahashi: "Expression of ERK1/ERK2 MAP kinase, protein kinase C, and Akt kinase in lymphoid malignant cells" Blood. 92.10. 376a (1998)
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[Publications] Ikuo Murohashi: "Roles of ERK1/ERK2 MAP kinase activity in the growth of blast clonogenic cells from patients with acute myeloblastic leukemia" Blood. 92.10. 159b (1998)
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[Publications] 室橋 郁生: "アポトーシスと疾患 血液疾患編 III-1 治療応用へ向けて" 医薬ジャーナル社(in press), (1999)