1999 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球酵素異常による遺伝性容血性貧血の分子異常の同定
Project/Area Number |
10670971
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70107762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
管野 仁 日本大学, 医学部・生化学教室, 講師 (70221207)
|
Keywords | 遺伝性非球状性溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ヘキソキナーゼ異常症 / エノラーゼ異常症 / 遺伝子内欠失 / ミスセンス変異 |
Research Abstract |
(1)ヒトへキソキナーゼI型遺伝子の構造解析とヘキソキナーゼ異常症の遺伝子解析 明らかにしたヘキソキナーゼ(HK)の遺伝子構造を基にHK異常症本邦第1例の遺伝子異常を検討した。症例は胎生29週の女児で子宮内胎児発達遅延および著明な貧血を認めた。患児の赤血球HK活性は正常対照の約15%、両親は約50%に低下しており、HK異常症と診断した。胎児は脳質周囲白質軟化症を合併し、37週で子宮内死亡した。患児HK-I遺伝子の各エクソンについてPCR増幅を試みたところ、エクソン5-8のみPCR産物が得られず、また網赤血球mRNAの解析ではエクソン5-8領域を欠失する異常HKcDNAのみが認められた。異常HKではフレームシフトが生じ、HK-IとHK-R活性は完全に欠損する。イントロン4および8の構造解析および患者HK-I遺伝子の欠失部分のクローニングにより、患児はHK-I遺伝子の約9kbに達する遺伝子内欠失のホモ接合体であることが明らかになった。 (2)エノラーゼ異常症の遺伝子解析で同定したヒトαエノラーゼ遺伝子異常 日本人エノラーゼ異常症症例について解析し、αエノラーゼの分子異常を同定した。患児は8歳男児で、慢性溶血性貧血を呈した。赤血球エノラーゼ活性は発端者が約50%に低下し、両親にも活性低下が認められた。患児網赤血球より全RNAを抽出し、αエノラーゼcDAN前翻訳領域を含む1415bpをRT-PCR法で増幅した。このPCR産物および8つのプライマーを用いてdirect sequencingで塩基配列を解析した結果、ミスセンス変異548CGC→CAC(Arg183His)を同定した。ゲノムの解析から発端者と母がこの変異に関してヘテロ接合体であることが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Fujii,H,and Miwa,S: "Red blood cell enzymes and their clinical application"Advances in Clinical Chemistry. 33(1). 1-54 (1999)
-
[Publications] Pujades,A., Lewis,M., Salvati,A.M., Miwa,S., Fujii,H., et al. al.: "Evaluation of the blue formation spot test for the screening of glucose 6 phosphate(G6PD)deficiency"Int,J,Hematol.. 69(4). 234-236 (1999)
-
[Publications] Shibuya,A., Hirono,A., Ishii,S., Fujii,H., and Miwa,S. Miwa,S: "Hemolytic crisis after excessive ingestion of fova beans in a male infant with G6PD Canton"Int,J,Hematol.. 70(4). 233-235 (1999)
-
[Publications] Fujii,H, and Miwa,S: "Other erythrocyte enzyme deficiencies associated with non-haematological symptoms : phosphoglycerate kinase and phosphofructokinase deficiency"Bailliere's Clinical Haematology. (in press).