1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10670978
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
角 純子 埼玉県立がんセンター, 研究所, 主任研究員 (30161136)
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Keywords | 白血病細胞 / 悪性リンパ腫 / nm23遺伝子 / 文化誘導抑制因子 / 予後因子 / ELISA法 |
Research Abstract |
[目的] 白血病細胞では、分化誘導抑制因子nm23が過剰発現している。我々は、急性骨髄性白血病においてこのnm23遺伝子が過剰発現していること、その発現量は治療抵抗性と相関し、白血病の新しい予後因子となることを明らかにした。昨年度は、機能分子であるnm23蛋白質の検出系を作製し、nm23蛋白質の発現や細胞内局在について解析した。その結果に基づき、本年度は(1)サンドイッチELISA法を利用して、白血病以外の造血器腫瘍への対象の拡大、および(2)細胞表面nm23蛋白質を治療の分子標的とする治療法の開発を検討した。 [成果] (1)細胞外(培養液や血液)に検出されるnm23蛋白質を定量するための検出システムとしてnm23抗体を用いたサンドイッチELISA法を昨年度開発した。正常細胞が混在する悪性リンパ腫などは従来のRT-PCR法によるmRNAの定量では限界があったが、血中のnm23蛋白質の定量が可能になったので、白血病以外の造血器腫瘍へ対象を拡大した。治療指針の選択に予後因子解析が特に重要である悪性リンパ腫について解析した。悪性リンパ腫の血中nm23蛋白質レベルは健康人血中レベルに比べて有意に高く、特にaggressive非ホジキンリンパ腫で高値であった。このaggressive非ホジキンリンパ腫においてnm23高発現群と低発現群を比較すると、高発現群では生存率の顕著な低下を認めた。国際予後指標の予後因子との多変量解析により、血中nm23蛋白質レベルはaggressive非ホジキンリンパ腫の優れた予後因子となることが明らかになった。 (2)nm23抗体を用いたFlow cytometrical analysis により急性骨髄性白血病例の約30%に細胞表面nm23蛋白質が検出できることを昨年度明らかにした。そこで本年度は、この細胞表面nm23蛋白質を標的として補体依存性細胞障害の誘導を検討した。細胞表面にnm23-H1蛋白質を発現している白血病細胞株はnm23-H1抗体と補体により、また、nm23-H2蛋白質を発現している白血病細胞株はnm23-H2抗体と補体により抗体濃度依存性に細胞障害が誘導された。治療の分子標的としての有用性が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Niitsu N.: "Prognostic implications of the differentiation inhibitory factor nm23-H1 protein in the plasma of aggressive non-Hodgkin's lymphoma"Blood. 94・10. 3541-3550 (1999)
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[Publications] Kanatani Y.: "Role of CD14 expression in the differentiation-apoptosis switch in human monocytic leukemia cells treated with 1α,25-dihydroxyvitamin D_3 or..."Cell Growth & Differentiation. 10・10. 705-712 (1999)