1998 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体細胞の各種因子の発現に及ぼす伸展刺激の影響とその分子細胞生物学的機序の解明
Project/Area Number |
10670985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
要 伸也 東京大学, 医学部附属病院分院, 助手 (60224581)
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Keywords | 伸展刺激 / TGF-β / PDGF / メサンギウム細胞 / 酸化LDL |
Research Abstract |
1 伸展刺激後とTGF-β、LTBP、PDGF: 培養メサンギウム細胞において、伸展刺激後のPDGF発現はA鎖の方が多いが、増加の割合はB鎖の方が大きかった。また、伸展刺激により、TGF-βだけでなく、TGF-β受容体I型およびII型の発現と結合量の増加を認めた。LTBPの発現も増加し、伸展刺激後のコラーゲンの増加が、LTBPのオリゴペプチド添加によって阻害されることより、TGF-βの活性化または作用発現にLTBPと細胞外基質の結合が重要であることが示唆された。このように、伸展刺激は一部PDGFを介して、TGF-βの発現、活性化、受容体との結合の各段階を促進し、コラーゲンの発現を増加させていると考えられた。 2 伸展刺激と高グルコースないし高脂質: メサンギウム細胞において、伸展刺激はGLUT-1の発現を増加させた。高グルコース、酸化LDLはメサンギウム細胞のTGF-βないしコラーゲンの発現を亢進させるが、伸展刺激はこのような酸化LDLによるコラーゲンの発現をさらに増強した。一方、血管内皮細胞においては伸展刺激のほか、酸化LDL、TGF-βなどのサイトカインがLOX-1の発現を亢進させた。これらは、物理的ストレスと、高グルコース・高脂質が、相加的または相乗的に細胞障害性に作用することを示唆している。 3 動物モデルでの検討: 酸化LDL/LDL受容体の腎障害進展における役割を明らかにするために、糸球体高血圧を生ずる各種腎疾患モデル(腎不全ラット、ダールラットなど)における腎の各種LDL受容体の発現、ないしこれに及ぼす降圧薬、コレステロール負荷の影響を検討中であり、予備実験ではTGF-βのほかLOX-1の発現増加を認めている。
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