1998 Fiscal Year Annual Research Report

IgA腎症の発症の病因解明に関する研究(IgA腎症扁桃リンパ球のHaemophilus parainfluenzae抗原に対する特異的抗体産生について)

Research Project

Project/Area Number	10670991
Research Institution	福井医科大学
Principal Investigator	鈴木亨福井医科大学, 医学部, 助教授 (00206484)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	下条文武福井医科大学, 医学部, 教授 (20126410)
Keywords	IgA nephropathy / Haemophilus parainfluenzae / outer membrane / tonsil / mucosal immunity / lymphocyte function
Research Abstract	本研究では、IgA腎症の発症の病因としてのIgA型免疫複合体の原因抗原として、Haemophilus parainfluenzae(HP)の外膜成分に焦点を絞り、本症患者の扁桃組織中リンパ球の、HPの外膜抗原に対する特異的IgA抗体の産生機序を解明することを目的とし、研究を遂行した。そのため、研究実施計画に沿って、IgA腎症例と腎機能正常な慢性扁桃炎例(対照群)において、HPの外膜構成成分に対する、患者の扁桃組織中リンパ球のHP抗原に対する特異的免疫グロプリン産生の解析を、リンパ球培養上清中のIgA,IgGおよびIgM型抗HP抗体価を測定することにより行い、以下に示す新たな知見を得た。 1. IgA腎症患者および対照群の扁桃組織中リンパ球を、HP菌体外膜抗原にて刺激し、ELISAによる培養上清中IgA型抗HP抗体価の検討を行った結果、IgA腎症患者における刺激指数[Stimulation Index(SI):刺激後のリンパ球によるIgA型抗HP抗体価(OD)/刺激前の同抗体価(OD)]は、対照群患者における刺激指数に比して、有意に高値を示した。 2. リンパ球培養上清中IgGおよびIgM型抗HP抗体価の刺激指数は、IgA腎症および対照群の間において、有意な差は認められなかった。 3. グラム陰性菌との対比のために、上記検討内容を緑膿菌の外膜抗原を用いて行ったところ、IgA、IgGおよびIgM型抗HP抗体価における刺激指数は、IgA腎症および対照群の間において、有意な差は認められなかった。 4. IgA腎症群において、リンパ球培養上清中HPに対するIgA型とIgG型、IgA型とIgM型、およびIgG型とIgM型抗体の抗体価の間に、有意な正の相関を認めた。一方、対照群においては、HPに対するIgG型とIgM型の抗体価の関係においてのみ正の相関を認めた。以上より、IgA腎症患者の扁桃組織中リンパ球はHP菌体外膜抗原に対してpolyclonal activationを伴うIgAクラススイッチによる抗体産生糸が活性化されており、特異的にIgA型HP抗体を産生することにより、IgA腎症の発症機序において、HP菌体外膜抗原が扁桃を中心とした局所免疫機構にとり重要な役割を果す、との結論を得た。

Research Products

(8 results)

All Other

All Publications (8 results)

[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症の原因抗原の解明 : Haemophilus parainfluenzae菌体外膜構成成分の関与" 臨床病理. 46(1). 17-25 (1998)
[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症扁桃リンパ球のHaemophilus parainfluenzae菌体外膜抗原刺激に対する免疫応答について" 日本腎臓学会誌. 40(3). 87 (1998)
[Publications] Satoru Suzuki: "Immune response of tonsil lymphocytes to Haemophilus parainfluenzae in patients with IgA nephropathy" Nephrology. 4(Suppl). A30 (1998)
[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症および他のIgA関連腎炎における抗Haemophilus parainfluenzae抗体価の意義" 臨床病理. 46(補冊). 221 (1998)
[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症患者扁桃組織リンパ球のHaemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原刺激に対する抗体産生について" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 2 (1999)
[Publications] 前川秀樹: "IgA腎症の扁桃組織内免疫グロブリン産生細胞の構成に関する検討" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 3 (1999)
[Publications] 山本智恵: "Haemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原を用いたIgA腎症モデル作成の試み" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 4 (1999)
[Publications] 鈴木亨: "Annual Review 腎臓 1999" 中外医学社, 6

1998 Fiscal Year Annual Research Report

IgA腎症の発症の病因解明に関する研究(IgA腎症扁桃リンパ球のHaemophilus parainfluenzae抗原に対する特異的抗体産生について)

Principal Investigator

鈴木 亨 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00206484)

Research Products

[Publications] 鈴木 亨: "IgA腎症の原因抗原の解明 : Haemophilus parainfluenzae菌体外膜構成成分の関与" 臨床病理. 46(1). 17-25 (1998)

[Publications] 鈴木 亨: "IgA腎症扁桃リンパ球のHaemophilus parainfluenzae菌体外膜抗原刺激に対する免疫応答について" 日本腎臓学会誌. 40(3). 87 (1998)

[Publications] Satoru Suzuki: "Immune response of tonsil lymphocytes to Haemophilus parainfluenzae in patients with IgA nephropathy" Nephrology. 4(Suppl). A30 (1998)

[Publications] 鈴木 亨: "IgA腎症および他のIgA関連腎炎における抗Haemophilus parainfluenzae抗体価の意義" 臨床病理. 46(補冊). 221 (1998)

[Publications] 鈴木 亨: "IgA腎症患者扁桃組織リンパ球のHaemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原刺激に対する抗体産生について" IgA腎症研究会 抄録. 22巻. 2 (1999)

[Publications] 前川秀樹: "IgA腎症の扁桃組織内免疫グロブリン産生細胞の構成に関する検討" IgA腎症研究会 抄録. 22巻. 3 (1999)

[Publications] 山本智恵: "Haemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原を用いたIgA腎症モデル作成の試み" IgA腎症研究会 抄録. 22巻. 4 (1999)

[Publications] 鈴木 亨: "Annual Review 腎臓 1999" 中外医学社, 6

鈴木亨福井医科大学, 医学部, 助教授 (00206484)

[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症の原因抗原の解明 : Haemophilus parainfluenzae菌体外膜構成成分の関与" 臨床病理. 46(1). 17-25 (1998)

[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症扁桃リンパ球のHaemophilus parainfluenzae菌体外膜抗原刺激に対する免疫応答について" 日本腎臓学会誌. 40(3). 87 (1998)

[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症および他のIgA関連腎炎における抗Haemophilus parainfluenzae抗体価の意義" 臨床病理. 46(補冊). 221 (1998)

[Publications] 鈴木亨: "IgA腎症患者扁桃組織リンパ球のHaemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原刺激に対する抗体産生について" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 2 (1999)

[Publications] 前川秀樹: "IgA腎症の扁桃組織内免疫グロブリン産生細胞の構成に関する検討" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 3 (1999)

[Publications] 山本智恵: "Haemophilus parainfluenzae(HP)菌体外膜抗原を用いたIgA腎症モデル作成の試み" IgA腎症研究会抄録. 22巻. 4 (1999)

[Publications] 鈴木亨: "Annual Review 腎臓 1999" 中外医学社, 6