1999 Fiscal Year Annual Research Report
定量的in vitro実験モデルによる透析アミロイド線維形成機構の解析
Project/Area Number |
10670992
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下条 文武 新潟大学, 医学部, 教授 (20126410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木 宏延 福井医科大学, 医学部, 教授 (10227704)
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Keywords | 透析アミロイドーシス / β_2ミクログロブリン / アミロイド線維 / 一次反応速度論 / AGEs(advanced glycation end products) |
Research Abstract |
本研究では、透析患者にみられるβ2-ミクログロブリン(β2-m)タイプのアミロイド線維が、in vitroにおいていかに形成するかを明らかにする目的で計画した。まず、アミロイド線維(fAβ2-m)を、透析アミロイドーシス患者より抽出した。単体前駆蛋白であるβ2-mは腎不全患者尿から精製したnative β2-mを用いた。昨年度の本研究で確立した試験管内fAβ2-m線維伸長反応により、アミロイド線維の伸長が、一次速度論、つまり既に存在する線維の端に、前駆蛋白質が次々に結合し、立体構造を変化させることにより起こるというモデルを用いて、現在重要視されている透析アミロイドーシスの発症に関与する幾つかの要因を明確にすることを試みた。まず、透析アミロイド蛋白がadvanced glycation end product(AGE)化していることから、AGEs修飾現象がアミロイド線維に如何なる役割を待つかを検討した。すなわち、AGE化現象が昨年度確立した試験管内モデルで、透析アミロイド線維(fAβ2-m)形成・伸長にどのように関与するかを検討した。その結果、試験管内fAβ2-m伸長モデルにおけるAGE-β2-mの効果は、native β2-mに比較して反応が乏しく,nativeβ2-mによる重合モデルに対しては伸長反応を阻害する性質が明らかとなった。すなわち、試験管内で本アミロイド前駆蛋白があらかじめAGE化修飾されている状態ではアミロイド線維化形成に関与が少ないことが示された。次に、透析アミロイドーシスにおいて、発症に関与する因子として注目されるアポリポ蛋白Eについて、上記モデルでの効果を検討したが有意な効果をみとめるに至っていない。今後、β2-mがアミロイド線維化に変化する要因について更に解明を進める必要がある。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 本間 則行 他: "特集 透析患者の合併症と薬の使い方Q&A透析アミロイド-シス"今月の治療. 7・5. 41-46 (1999)
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[Publications] 下条 文武 他: "透析アミロイド-シスに対する直接血液灌流型β2-ミクログロブリン吸着器「リクセル」の臨床効果:前向き多施設コントロールβ2-ミクログロブリン吸着器スタディ"腎と透析. 46・4. 547-560 (1999)
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[Publications] 上野 光博 他: "II.疾患編 腎臓 アミロイド腎症"内科. 83・6. 1284-1288 (1999)
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[Publications] 丸山 弘樹 他: "透析療法の問題点と対策:透析アミロイド-シス"内科. 84・1. 122-125 (1999)
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[Publications] 西 慎一 他: "透析アミメイド-シスの臨床症状と発症機序解明"新潟県医師会報. 592・. 2-6 (1999)
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[Publications] 丸山 弘樹 他: "透析アミロイド-シス総論"腎と透析. 47・6. 767-711 (1999)
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[Publications] Shoji Odani,et al.: "Structural analysis of the amyloidogenic k Bence Jones protein(FUR)"Amyloid. 6・2. 77-88 (1999)
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[Publications] Kazuhiro Hasegawa,et al.: "Interaction of Aβ(1-42) and Aβ(1-40) in Alzheimer's β-Amyloid fibril formation"Biochemistry. 38・47. 15514-15521 (1999)
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[Publications] Norikazu Hashimoto,et al.: "Modification of β2-microglobulin with D-glucose or 3-deoxglucosone inhibits Aβ2M amyloid fibril extension in vitro"Amyloid. 6・4. 256-264 (1999)
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[Publications] 下条 文武: "内科学書 改訂第5版(島田 馨 他編)"中山書店(東京). 2 (1999)
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[Publications] 下条 文武: "透析患者の検査と管理(下条 文武 編)"中外医学社(東京). 12 (1999)
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[Publications] 恵 以盛 他: "専門医を目指すケース・メソード・アプローチ腎臓疾患第2版(北本 清 編)"日本医事新報社(東京). 9 (1999)
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[Publications] 本間 則行 他: "透析療法 NEW WAVE(丸茂 文昭、秋葉 隆 編)"中外医学社(東京). 10 (1999)
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[Publications] 下条 文武: "透析療法事典(中本 雅彦、佐中 孜、秋澤 忠男 編)"医学書院(東京). 7 (1999)
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[Publications] 下条 文武: "血液浄化療法事典(飯田 喜俊、ニ瓶 宏、秋澤 忠男 編)"メディカル・サイエンス・インターナショナル(東京). 3 (1999)
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[Publications] 下条 文武: "透析医学の文化と技術(森井 浩世 編)"医薬ジャーナル社(大阪). 6 (1999)
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[Publications] Naiki,H.et al.: "Amyloid and amyloidosis. The proceedings of the VIIIth international symposium on Amyloidosis (edited by Robert Akyle,Morie A.Gertz)"Parthenon Publishing (New York). 11 (1999)
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[Publications] Naiki, H.et al.: "Methods in Enzymology vol. 309 (edited by Ronald Wetzel)"Academic Press (San Diego). 14 (1999)