1998 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン誘発急性腎不全におけるアポトーシスの役割とその誘導機序の検討
Project/Area Number |
10670993
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
菱田 明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70111812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
池谷 直樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80283357)
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Keywords | シスプラチン / 急性腎不全 / アポトーシス / BC12 |
Research Abstract |
シスプラチンはin vitroの検討でアポトーシスによる細胞障害を引き起こすことが知られている。本研究では、ラットでのシスプラチン誘発急性腎不全モデルにおいて1)アポトーシスが誘導されるがどうか、2)アポトーシスがシスプラチンによる腎機能障害や尿細管細胞障害に重要な役割を果たすか否か、を検討した。シスプラチン6mg/Kgを静脈内に投与して急性腎不全を惹起したが、この急性腎不全モデルでは投与後5日目をピークとした血清クレアチニン値の上昇と尿細管細胞障害をみとめた。5日目には尿細管細胞のアポトーシスを電子顕微鏡で確認できた。さらに腎組織のDNA電気泳動でladder patternを認めた。以上からシスプラチン誘発急性腎不全モデルでのアポトーシスの出現をin vivoで確認した。TUNEL,法で確認したアポトーシス細胞数の変化を検討すると、アポトーシス細胞数は血清クレアチニン値や尿細管細胞障害の経過と並行して変化した。ついで、シスプラチンの急性腎不全を軽減する方法としてシスプラチンを投与する14日前に酢酸ウラニウム5mg/Kgを腹腔内に投与した。酢酸ウラニウムの投与もまた急性腎不全を惹起したが、その回復期の14日目には腎組織にアポトーシス抑制蛋白であるBC12の発現を認めた。腎組織にBC12が発現したラットにシスプラチンを投与すると、シスプラチンによる血清クレアチニン値の上昇と尿細管細胞障害の程度は有意に軒減された。以上の結果から、シスプラチン誘発急性腎不全においてアポトーシスの程度と腎障害の程度が強く相関する事が示された。
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