1999 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン誘発急性腎不全におけるアポトーシスの役割とその誘導機序の検討
Project/Area Number |
10670993
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
菱田 明 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70111812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
池谷 直樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80283357)
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Keywords | シスプラチン / 急性腎不全 / アポトーシス / 活性酸素 / グリシン |
Research Abstract |
急性腎不全における尿細管細胞死の一部がアポトーシスであることが近年知られるようになった。アポトーシスの増加は障害尿細管細胞数を増加させ尿細管障害の増悪に関与すると考えられるが、一方ではアポトーシスの細胞死は壊死と異なり、周辺細胞への影響が少ないことからアポトーシスの相対的増加は壊死によるものと比較し、組織障害軽減に働く可能性もある。昨年度、我々はシスプラチンによるラット急性腎不全モデルの尿細管にアポトーシスが起きていること、アポトーシス抑制因子であるBC12を発現させたラットではシスプラチンによる急性腎不全が軽減されることを報告し、アポトーシスがシルプラチンによる尿細管細胞障害に重要な役割を果たす可能性があることを報告した。 本年度はシスプラチン誘発急性腎不全を軽減することが知られているglycineや活性酸素のスカベンジャーであるdimethylthioureaが急性腎不全の軽減と共にアポトーシスを軽減するかどうかを検討した。シスプラチン 6mg/kgの静注により惹起される急性腎不全においてdimethylthioureaやglycineは腎組織障害と血清クレアチニン値の上昇をともに軽減した。同時に測定したTUNEL陽性細胞数は両薬剤で著しく軽減された。また、TUNEL陽性細胞数と腎組織障害の程度には強い正の相関があった。これらの結果は(1)従来シスプラチンによる急性腎不全の程度を軽減するとされてきたdimethylthioureaやglycineがシスプラチンによるアポトーシスを軽減すること、(2)尿細管細胞障害の程度はアポトーシスの程度と正に相関し、アポトーシスの程度が障害の程度を規定する一要因であることを示している。
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Research Products
(1 results)