1999 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧による糸球体硬化症の発症・進展機序の解明とその予防
Project/Area Number |
10670998
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
高畠 利一 島根医科大学, 医学部, 教授 (60111762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 雅彦 島根医科大学, 医学部, 講師 (70291466)
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Keywords | 高血圧 / 微小循環 / 糸球体硬化 / 腎機能 / 糸球体内圧 / 血管作動性物質 / ネフロン / ラット |
Research Abstract |
対象と方法:高血圧自然発症ラット(SHR)では高血圧発症初期の9〜10週齢においてのみ尿細管糸球体フィードバック(TGF)の反応性の亢進が認められる。この時期の糸球体微小循環に、内因性血管作動性物質のアデノシンとアドレノメジュリンがいかなる影響を及ぼすかについて検討した。チオペンタール麻酔下のSHRを用いて腎微小穿刺実験を行った。ヘンレ係蹄の灌流速度を40nl/minに増した際の近位尿細管stop flow圧(SFP)の減少率によりTGFの反応性を評価した。SFPは糸球体内圧を反映する。 成績:SHRにアデノシンA1受容体拮抗薬(FK838,10μg/kg/min,i.v.)を投与すると、係蹄灌流時のSFP減少率は37から14%へと小さくなった。糸球体内圧は40から48mmHgへと上昇し、TGF曲線は上方向にシフトした。全身血圧は不変、腎血管抵抗(RVR)は下降、GFRと腎血漿流量(RPF)は増加し、Na排泄率(FENa)は著しく増加した。SHRにアドレノメジュリン(3 nmol/kg/h,i.v.)を投与すると、SFPの減少率は37から27%へと、WKYと同程度にまで小さくなった。糸球体内圧は不変で、TGF曲線は尿細管液流量増大の方向(右方向)にシフトした。全身血圧とRVRは下降、RPFは増加しFENaは軽度増加したが、GFRは不変であった。 考察と結論:A1受容体拮抗薬とアドレノメジュリンは、ともにSHRのTGF亢進を抑制するが、TGF曲線は異なる方向にシフトさせる。前者は、輸入細動脈の拡張により糸球体高血圧と過剰濾過をもたらす。後者では輸入、輸出細動脈がともに拡張するため糸球体内圧は正常に維持される。アドレノメジュリンは、SHRのTGFを正常化するとともにNa利尿と全身血圧の下降に働いて、SHRの糸球体硬化の発症、進展を抑制する可能性がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Kawabata,T.Ogawa,W・H.Han,T.Takabatake: "Rental effects of efonidipine hydrochloride,a new calcium antagonist,in spontaneously hypertensive rats with glomerular injury."Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology.. 26. 674-679 (1999)