1998 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜水チャネル発現調節と腹膜透析除水機能変化との関連の検討
Project/Area Number |
10671011
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 元 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30231517)
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Keywords | in situ hybridization / aquaporin / 中皮細胞 / 限外濾過 / 遺伝子発現 / 腹膜透析 |
Research Abstract |
雄性ラットの腹腔内にカテーテルを留置し、7%ブドウ糖を含む腹膜透析液、及び対照群として生理食塩水を15mL腹腔内に留置し、1日3回の透析液交換を実施、実験的腹膜透析モデルとした。透析開始後3-4日目まで限外濾過量(除水量)の経時的増加が見られ、これと平行してAQP1及びAQP4水チャネル遺伝子の腹膜での発現が増加した。In situ hybridization法による検討では、この発現増加は腹膜中皮細胞でのAQP遺伝子発現増加に起因するものであることが明らかとなった。AQP遺伝子発現は透析開始4日目以降減少に転じ、14日目ではほぼ前値に復した。この一過性の発現増加は中皮細胞のadoptationに基づくものと考えられた。また透析開始30日及び60日後では高濃度の透析液使用群で腹膜限外濾過機能が低下する傾向が見られ、現在詳細を検討中である。臨床的に腹膜透析患者に限外濾過量低下が見られた際に、透析を一時中断し、その後再開すると限外濾過量の増加が見られることが経験されるが、今回見られたAQP遺伝子発現変化はこうした事実に対応したものとも考えられ、AQP遺伝子発現と臨床的な限外濾過不全との関連、及び治療への応用にとって示唆に富む知見と考えられ、現在論文投稿中である。
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