1998 Fiscal Year Annual Research Report
L-arginineの糸球体硬化に対する逆説的用量依存性効果の機序解明
Project/Area Number |
10671014
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中西 健 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70217769)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 敬介 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60248135)
|
Keywords | L-Arginine / Nitric oxide(NO) / in situ hybridization / NO合成酵素(NOS) / ecNOS / nNOS / 糸球体硬化 / 間質線維化 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は内皮依存性血管拡張因子として発見されたが、単に血圧調節のみならず腎血行動態にも重要な働きをしているとされている。そこで、本研究では糸球体硬化モデルである5/6腎摘ラットにおいて、糸球体硬化を調節する因子としてのNOを検討する目的で、モデル動物にNOの先駆体であるL-arginine(L-ARG)の種々の用量を摂取させた検討を行った。 従来からの予備的検討と同様に、少量のL-ARG(0.2g/kg BW/日)を投与したほうが大量のL-ARG(2.0g/kgBW/日)を投与したものより尿中NO代謝物、cGMP排泄量が多く、また糸球体硬化の程度、蛋白尿も軽いことが確認された。また、間質障害を間質繊維化面積により計測した検討でも同様の結果であり、NO産生が大であるほど糸球体硬化のみならず間質繊維化をも予防していることが示唆された。 そこで、in situ hybridizationによりNO産生酵素(NOS)の発現を検討した。ecNOSおよびnNOSを画像解析装置で測定すると、糸球体内に絞った発現量では少量のL-ARG投与群のほうが大量L-ARG投与群に比して約2倍程度の発現量の増加が認められられた。NOSの発現量の増加がNOS蛋白およびNO産生増加に結びついている可能性が示唆された。 現在、少量および大量のL-ARGを投与した条件でのL-ARGの代謝を検討するため、血清濃度のみならず臓器内代謝物濃度を検討中である。特に、NOSを阻害する作用のあるN^G,N^G,dimethyl L-arginineの濃度を検討したが両群間では有意な差を認めなかった。 次年度では肝ほかの代謝を確認するとともに、in situ hybridizationによるecNOSおよびnNOS発現の検討を定量化する。
|