1999 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタント阻害物質のサーファクタント転換酵素活性の研究
Project/Area Number |
10671023
|
Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (90260843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 葉子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00301466)
小俣 真 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70286045)
柿沼 亮太 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30281306)
|
Keywords | 肺サーファクタント / サーファクタント転換酵素 / surface area cycling |
Research Abstract |
肺胞II型細胞によって合成・分泌された肺サーファクタント(large surfactant aggregates;LA)は、肺胞腔の気液界面において表面活性を発現した後に、活性のない肺サーファクタント(small surfactant aggregates;SA)へと転換される。サーファクタントサブタイプ転換と呼ばれるこの反応には、「サーファクタント転換酵素」が関与しているといわれている。平成10年度は、surface area cycling法というin vitro呼吸運動モデルを用いて、サーファクタントサブタイプのLAからSAへの転換率を評価して、代表的な肺サーファクタントの表面活性阻害物質である胎便や血清、好中球エラスターゼがサーファクタントサブタイプの転換を促進させる作用があることを証明した。平成11年度は、まず蛋白分解酵素阻害剤(diisopropyl fluorophosphate;DFPまたはα1アンチトリプシン)が、前年度に証明されたサーファクタントサブタイプ転換促進に対して抑制的に作用することを確認した。多価・酵素阻害剤であるウリナスタチンの作用も合わせて検討したが、サーファクタントサブタイプ転換促進に対する抑制的な効果は認められなかった。次に胎便と[^3H]-DFPとを反応させた後に、SDS-PAGE、オートラジオグラフィーを行うことによって、胎便中に30kDa(還元および非還元)のDFP結合蛋白質を証明した。さらにこのDFP結合蛋白質は、con Aに結合すること、endoglycosidase Fによって30kDaから28kDaになることが示され、糖蛋白質と考えられた。今後の課題は、胎便や血清に含有されるサーファクタント転換酵素様活性を示す物質の性格付けと同定であり、これらの成果によって、肺サーファクタント代謝の面からの肺サーファクタントの機能的欠如の解明がすすむと考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 柿沼亮太、清水 浩、小川雄之亮: "胎便中のジイソプロピルフルオロリン酸結合蛋白質"日本界面医学会雑誌. 31(印刷中). (2000)
-
[Publications] 清水 浩、小川雄之亮: "慢性肺疾患"小児科診療. 62. 1682-1689 (1999)
-
[Publications] 清水 浩、小川雄之亮: "慢性肺疾患"小児科診療. 62(Suppl.). 561-563 (1999)
-
[Publications] 清水 浩(小川雄之亮監修、藤村正哲編著): "Systematic reviewにもとづいた新生児慢性肺疾患の診療指針、サーファクタント補充療法"メディカ出版. 20-22 (1999)
-
[Publications] Hiroshi Kawasaki, Hiroshi Shimizu, Ryota Kakinuma, Makoto Obata, Yunosuke Ogawa: "Mechanism of surfactant inactivation in meconium aspiration syndrome: in vitro study of inhibitory effect on surfactant-TA by meconium."Am J Respir Crit Care Med. 159. A894 (1999)
-
[Publications] Risa Tanaka, Yoko Igarashi, Ryota Kakinuma, Hiroshi Shimizu, Yunosuke Ogawa: "Surfactant dysfunction by human polynorphonuclear leukocyte clastase: surfactant conversion, surface activity, and surfactant proteins."Am J Respir Crit Care Med. 159. A730 (1999)