1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティング法による副腎皮質刺激ホルモン受容体の機能解析
Project/Area Number |
10671028
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
久保 光正 北海道教育大学, 保健管理センター, 教授 (10205130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 力 北海道教育大学, 医学部・附属病院, 助手 (00292029)
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Keywords | 副腎皮質刺激ホルモン受容体 / 遺伝子 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
我々は、マウス副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)受容体遺伝子が4個のエクソンからなり、第1から第3エクソンは5′非翻訳領域を、第4エクソンは5′非翻訳領域の一部と全翻訳領域及び全3′非翻訳領域をコードすることを明らかにした(Gene,1997)。また、ノーザン解析から、本遺伝子は副腎において強く発現し、弱いながら脂肪組織にも発現を認めた。この結果は、ACTHがステロイド合成促進作用と、脂肪分解作用を有することと合致する。ACTHは他に学習行動などの中枢神経系に対する作用が知られている。しかし、これらの作用は、ACTH受容体遺伝子と同時に単離されたメラノコルテン受容体遺伝子がACTH受容体遺伝子と相同性が高いことから両者を介している可能性があり、特に副腎外の作用は、例えばメラノコルチン受容体遺伝子が脂肪組織にも発現しており、真のACTH受容体の機能を反映しているとは断定できない。そこで、我々はジーンターゲティング法を用いてACTH受容体遺伝子ノックアウトマウスを作製して、その解析から真のACTH受容体の機能を明らかしたいと考えた。ACTH受容体遺伝子ノックアウトマウスを作製するにあたり、ACTH受容体全翻訳領域をプローベとして、129SVJマウスゲノムライブラリー85万クローンから改めてスクリーニングを行い2クローンを単離した。このうちの1クローンは約14kbのインサートDNAを有し、第4エクソンの上流3.4kb、下流9.6kbDNA断片を含んでいた。ターゲテイングベクターは置換型とし、標的部位は全翻訳領域をコードする第4エクソンとし、ポジティブセレクションとしてneo遺伝子を、ネガティブセレクションとしてジフテリアトキシンA(DT-A)遺伝子を用いることとした。即ち、3′非翻訳領域を一部含む本遺伝子下流約5.6kbのDNA断片上流にneo遺伝子を結合し、その上流に第4エクソンの5′非翻訳領域の一部を含む第4エクソン上流1.4kbDNA断片を繋ぎ、さらにその上流にDT-A遺伝子を結合したコンストラクトを、現在作製中である。
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