2000 Fiscal Year Annual Research Report
転写共役因子異常によるアンドロゲン不応症の疾患概念の確立と病因共役因子の構造決定
Project/Area Number |
10671037
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名和田 新 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10038820)
|
Keywords | アンドロゲン / 共役因子 / 睾丸性女性化症 / 受容体 / 不応症 / 転写 / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
<目的>我々は臨床症状、内分泌学的成績は完全型睾丸性女性化症に一致するにもかかわらず、アンドロゲン受容体遺伝子に異常を認めない症例を見い出した。本症例の培養皮膚線維芽細胞におけるアンドロゲン依存性の転写活性化能は全く検出できず、本症例は共役因子の異常によるアンドロゲン不応症であることが強く示唆された。本研究では(1)本症例の解析により共役因子病の疾患概念を確立する。(2)本症例で欠損している共役因子をクローニングすることにより、アンドロゲン受容体に特異的な共役因子の構造と特性を解明する。 <本年度の研究計画と成果>平成10〜11年度の研究により、本症例ではアンドロゲン受容体(AR)のAF-1ドメインと相互作用する因子が欠損していることが判明し、この欠損しているcoactivatorの分子量は約90kDaであることが判明した。平成12年度はARのAF1ドメインと相互作用する共役因子の単離と構造決定を計画した。そこで、AR-AF-1に特異的な共役因子をクローニングするためにYeast Two Hybrid SystemにおいてAR-AF-1をbaitにして、正常者の培養皮膚線維芽細胞より作成したcDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、約100kDaのAR-AF-1と特異的に結合するクローンが得られた。このクローンはRNA splicing factorと構造の類似性を持ち、細胞に導入して発現させるとARの転写活性化能を増強した。GST-pull down assayの系でもグルココルチコイドレセプター(GR)のAF-1には結合せず、AR-AF-1のみに結合したが、転写活性化能はGRのものも若干増強した。本研究の経過から、AR-AF-1に特異的に結合する蛋白因子は複数であることが判明したが、AR-AF-1に特異的なcoactivatorを1つ単離、構造決定することができた。今後、他のAR-AF-1に特異的な共役因子を単離、統合的にその転写活性化の分子機構を解明することが必要と考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Adachi M et al.: "Androgen-insensitivity syndrome as a possible coactivator disease."N Engl J Med. 343. 856-862 (2000)
-
[Publications] Takayanagi R et al.: "Epidemiologic study of adrenal disorders in Japan."Biomed & Pharmacother. 54Suppl1. 164-168 (2000)
-
[Publications] Mu Yi-M et al.: "Insulin sensitizer, troglitazone, directly inhibits aromatase activity in human ovarian granulosa cells."Biochem Biophys Res Commun. 271. 710-713 (2000)
-
[Publications] Mu Yi-M et al.: "A nuclear receptor system constituted by RAR and RXR induces aromatase activity in MCF-7 human breast cancer cells."Mol Cell Endoerinol. 166. 137-145 (2000)
-
[Publications] Oba K et al.: "Transcriptional regulation of the human FTZ-F1 gene encoding Ad4BP/SF-1."J Biochem. 128. 517-528 (2000)
-
[Publications] 高柳涼一 他: "アンドロゲンレセプター共役因子異常症 新しい疾患概念."月刊薬事. 42. 1141-1146 (2000)