1999 Fiscal Year Annual Research Report
転写調節因子からみた自己免疫性甲状腺疾患の病因・病態の解明と新しい治療薬の探索
Project/Area Number |
10671038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
生山 祥一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (20184393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名和田 新 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10038820)
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Keywords | TSH受容体 / 主要組織適合抗原 / 転写因子 / バセドウ病 |
Research Abstract |
バセドウ病の甲状腺濾胞細胞には主要組織適合抗原(MHC) class II分子が異所性に発現し、自己免疫機序の引き金として、あるいは本症の増悪・進展に関与している。我々は、このMHC class II分子の発現を制御する薬物が本症をはじめ種々の自己免疫疾患の治療薬として有用なのではないかと考え、甲状腺細胞をモデルにその探索を行っている。 我々は昨年度まで研究で、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)遺伝子とMHC class II遺伝子の発現に共通の転写因子、TSEP-1/YB-1が抑制的に働いていることを見いだした。そこで、この転写因子を介してバセドウ病の自己抗原であるTSHRとMHC class II分子の発現制御が可能なのではないかと考え、これらの遺伝子のプロモーター活性に影響を与える薬剤を探索している。これまでにニコチン酸アミドがこれら2つの遺伝子のプロモーター活性を増強することを見いだし、これはニコチン酸アミドが抑制因子TSEP-1/YB-1の発現を抑制するためであることを報告した。しかし、このニコチン酸アミドの効果はむしろ治療薬としての可能性とは相反するものであるため、さらに新たな薬剤の効果を検討中である。さらに、昨年度までの研究で、MHC class II分子のバセドウ病甲状腺細胞における異所性発現に関与するMHC class II遺伝子のプロモーターを明らかにしたので、このプロモーターに作用してMHC class II発現を抑制する薬剤も併せて探索している。 これらの薬剤の探索を慢性関節リウマチなどの他の自己免疫疾患の治療にもつなげたいと考えている。
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[Publications] Ohe K et al.: "Nicotinamide protentiates TSHR and MHC class II promoter activity in FRTL-5 cells"Mol Cell Endocrinol. 149. 141-151 (1999)
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[Publications] Nawata H et al.: "Human Ad4BP/SF-1 and its related nuclear receptor"J Steroid Biochem Mol Biol. 69. 323-328 (1999)
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[Publications] 生山祥一郎、他: "下垂体腺腫における転写因子の発現と前葉細胞の分化について"ホルモンと臨床. 47(増刊). 50-56 (1999)