1998 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化におけるTGリッチリポ蛋白の役割-免疫組織染色を用いた検討-
Project/Area Number |
10671059
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 明 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (70171733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 倫朗 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10301152)
小林 靖 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70225548)
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Keywords | TGリッチリポ蛋白 / アポBレセプター / マクロファージ / 動脈硬化 / 免疫組織染色 / モノサイト / レムナント / 泡沫細胞 |
Research Abstract |
米国、アラバマ大学のGianturco SHおよびBradley WA両教授は、トリグリセリド(TG)リッチリポ蛋自を結合する分子量235および200kDの新しいマクロファージ上のレセプター(アポBレセプター)を発見した(Arterioscl.Thromb.Vasc.Biol.1998)。我々はこのレセプターの抗体を用いて(我々はアラバマ大学と共同研究をしておりアポBレセプター抗体の提供を受けた)、ヒト頚動脈および冠状動脈の動脈硬化病変部を材料とし、免疫組織染色を行ったところ、動脈硬化巣の中で泡沫細胞の存在する部位に一致して、アポBレセプターの染色を認めた。この結果は、動脈硬化巣の泡沫細胞化したマクロファージにTGリッチリポ蛋白を結合するアポBレセプターの存在を示すもので、アポBレセプターがTG・リッチリポ蛋白による動脈硬化病変形成に重要な役割を果たしている可能性を示唆するものである。アポBレセプターを介するTGリッチリポ蛋白による動脈硬化形成メカニズムは、コレステロールリッチな変性LDLを結合するマクロファージ上レセプターであるスカベンジャーレセプターとならぶ重要な発見で、高TG血症の動脈硬化進展における強い関与を示唆するものである。 この結果は、第50回米国臨床生化学会のシンポジウムおよび平成10年度日本動脈硬化学会冬季大会のセミナーにて発表した。また、アポBレセプターの塩基配列の結果と併せて論文投稿中である。 アポB48の特異的抗体を用いた免疫組織染色については、ヒト頚動脈および冠状動脈の動脈硬化病変部を材料として行ったが、染色性が不安定であり、有為な染色を確認できなかった。アポB48抗体に問題があることが考えられることから、新たな抗体を作成中である。
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[Publications] 田中 明: "糖尿病で増加を認めるレムナントの動脈硬化合併における役割" 糖尿病. 41-Supp.324- (1998)
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[Publications] 田中 明: "食後高脂血症とレムナント代謝" 動脈硬化. 25(9, 10). 371-376 (1998)
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[Publications] Akira Tanaka: "Measurement of postprandial remnant-like-particles following a fat lodclins test." Clinica Chimica Acta. 275. 43-52 (1998)