2000 Fiscal Year Annual Research Report
高血糖と糸球体高血圧により惹起されるメサンギウム細胞異常の分子機構
Project/Area Number |
10671063
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Research Institution | SHIGA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE |
Principal Investigator |
羽田 勝計 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60164894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70242980)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 糸球体高血圧 / 周期的伸展刺激 / cGMP / cAMP / extracellular signal-regulated kinase(ERK) / fibronectin |
Research Abstract |
糖尿病状態において、メサンギウム細胞は、高血糖すなわち高濃度のブドウ糖に曝される(糖負荷)のみならず、糸球体高血圧に起因する圧負荷にも曝されていると考えられる。圧負荷は、メサンギウム細胞を周期的に伸展させ、細胞内に種々の異常を惹起し得ると推定される。従って、糖尿病におけるメサンギウム細胞異常を考える際、糖負荷のみならず圧負荷の影響を同時に解明することが極めて重要であると考えられる。昨年度までの研究で、メサンギウム細胞に圧負荷(周期的伸展刺激)を加えることにより、protein tyrosine kinase(PTK)依存性にextracellular signal-regulated kinase(ERK)が活性化され、このERK活性化がTGF-βおよびfibronectin(FN)の発現増加を来していること、およびERK活性化、FN産生増加に関して糖負荷と圧負荷が相加的に作用していることが明らかとなった。本年度は、圧負荷によるメサンギウム細胞機能異常の是正方法に関し、検討を加えた。特に、細胞内cGMPあるいはcAMPを増加させる物質(薬剤)に注目した。cGMP系では、8-Br-cGMP、SNPが、周期的伸展刺激によるERK活性化を抑制し、Gキナーゼ阻害剤により阻止された。cAMP系では、Bt2-cAMP、beraprost sodium、adrenomedulinが、同様に周期的伸展刺激によるERK活性化を抑制し、Aキナーゼ阻害剤により阻止されることが明らかとなった。さらに、beraprost sodiumは、周期的伸展刺激によるAP-1のDNA結合能亢進を抑制し、FN産生増加を阻止し得ることも明らかとなった。以上の成績より、糖尿病性腎症の特徴であるメサンギウム細胞における細胞外基質蛋白産生増加には、糖負荷と圧負荷の両者が異なる機構で関与しており、両者に対する対策が重要であることが明らかになった。さらに、細胞内cGMPあるいはcAMPを増加させる物質(薬剤)が、圧負荷に起因するメサンギウム細胞機能異常を是正し得る可能性が示唆された。
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