1998 Fiscal Year Annual Research Report
LCATノックアウトマウスの作成とそれを用いた動脈硬化発症機序の究明
Project/Area Number |
10671067
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 尚彦 大阪大学, 医学部, 助手 (80294073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 誠 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
平野 賢一 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
船橋 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (60243234)
山下 静也 大阪大学, 医学部, 助手 (60243242)
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Keywords | LCAT / 動脈硬化 / HDL代謝 / コレステロール逆転送 / 腎障害 / 角膜混濁 |
Research Abstract |
平成10年度は、主に作製したLCAT欠損マウスの病態およびリポ蛋白代謝異常の詳細な検討を行った。LCAT欠損マウスにおいては血中総コレステロール(正常の23%)、HDLコレステロール(同7%)、アポA-I(同14%)は著明に低下し、中性脂肪(同212%)は中等度に増加していた。ゲル濾過(FPLC)によるリポ蛋白の分析でもLCAT欠損マウスにおいてはVLDL分画の増加とHDL分画の著明な低下が認められた。さらに電子顕微鏡的に円板状(discoid)HDL粒子、HDLの連銭形成(rouleaux formation)の存在も確認し、LCATがHDLの成熟に重要であることも示した。これらのことよりLCAT欠損マウスはヒトLCAT欠損症のモデルとして有用であることを示された。 ヒトLCAT欠損症においてはリポ蛋白代謝異常の他に角膜混濁、腎機能障害の存在が特徴的である。LCAT欠損マウスにおいては角膜の組織学的検討ではH/E染色、PAS染色ともに正常で、oil red O染色にても角膜に脂質の蓄積所見は認められない。また、腎臓の組織学的検討では軽度の腎糸球体硬化像(メサンギウム細胞の増殖と間質の増加)を認めたが、血清BUN,Creatinine値は正常であった。 現在のところ普通食(chow diet)投与にてLCAT欠損マウスには動脈硬化の発症が認められていないが、LCATと動脈硬化発症、進展、防御との関連を明らかにするため、現在geneticbackgroudを均一にするためC57BL/6Jマウスとbackcross中であり、同時に脂肪負荷(15%fat,l.25%cholesterol,0.5%cholic acid)を継続中である。また、動脈硬化を高率に発症するアポ蛋白E欠損マウスとも交配中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsuura F.et al.: "Activation of monocytes in vivo causes intracellular accumulation of lipoprotein-derived lipids and marked hypercholesterolemia-possible pathogenesis of necrobiotic xanthogranuloma-" Atherosclerosis. in press.
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[Publications] 酒井尚彦 他: "脂質代謝の調節" 内科. 81(2). 213-219 (1998)
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[Publications] 酒井尚彦: "CETPからみたLDL" Progress in Medicine. 18(8). 1894-1898 (1998)
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[Publications] 酒井尚彦 他: "先天性低HDL血症" 日本臨床(1998年別冊). 19. 54-58 (1998)