1999 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分化におけるPI3キナーゼ活性化機構の検討
Project/Area Number |
10671073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学部, 助手 (40294219)
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Keywords | PI3キナーゼ / 脂肪細胞 / 分化 / Akt / 情報伝達 / インスリン作用 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、PI3-キナーゼの活性化は脂肪細胞の分化過程で、蛋白翻訳の促進に機能することも明らかとなっていた。そこで、PI3-キナーゼからのシグナルがどのような機構で蛋白翻訳を促進させるかについて研究をすすめた。その結果、PI3-キナーゼ依存性の蛋白翻訳促進の過程ではセリン・スレオニンキナーゼAktが下流のエフェクターとして機能し、Aktは4E-BP1のリン酸化を促進させることにより、蛋白翻訳を制御することが明かとなった。また、脂肪細胞において、atypical PKCλもPI3-キナーゼの下流で機能することが明かとなった。しかし、dominamt negative分子を用いた検討からは、PKCλはインスリン依存性の糖輸送には必須の因子であるものの、脂肪細胞の分化には主要な機能を果たさないことが見い出された。脂肪細胞の分化の促進にはcAMPの上昇により惹起される情報伝達機構も重要であることも知られている。また、脂肪細胞においてはPI3-キナーゼからのシグナルがcAMP濃度制御に関与することも報告されていらう。そこで、脂肪細胞におけるPI3-キナーゼ依存性のcAMP濃度制御機構についても研究を展開させた。この過程ではcAMP水解酵素であるphosphodiesterase3Bが主要な機能を果たすことが明かとなり、また、セリン・スレオニンキナーゼAktがphosphodiesterase3Bを直接リン酸化することにより活性化し、細胞内cAMP濃度の低下を促すことも明かとした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masafumi Takata: "Requirement for Akt(Protein Kinase B)in insulin-induced activation of glycogen synthase and phosphorylation of 4E-BP1(PHAS-1)"Journal of Biological Chemistry. 274. 20611-20618 (1999)
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[Publications] Tadahiro Kitamura: "Insulin-induced phosphorylation and activation of cyclic nucleotibe phosphodiesterase(PDE)3B by the serine-threonine kinase Akt"Molecular and Cellular Biology. 19. 6286-6296 (1999)