1999 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性発症機序における遺伝因子と環境因子の分子生物学・発生工学的解析
Project/Area Number |
10671079
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 栄一 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (10253733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 哲至 熊本大学, 医学部, 助手 (60295128)
岸川 秀樹 熊本大学, 医学部, 講師 (30161441)
|
Keywords | インスリン / インスリン受容体 / IRS-1 / ブラジキニン / チロシンフォスファターゼ / 肥満 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1.正常IRS-1、変異IRS-1発現細胞におけるホルモン、サイトカインの影響の解析 正常IRS-1、変異IRS-1(Pro^<170>→Arg、Met^<209>→Thr、Ser^<809>→Phe、Gly^<971>→Arg)蛋白を発現させた細胞を単離した。さらに正常IRS-1発現細胞にインスリン受容体およびブラジキニン受容体を導入した細胞を構築した。 Pro^<170>→Arg、Met^<209>→Thr、Gly^<971>→Argを発現した細胞ではインスリン作用障害を示すことを証明したが、Ser^<809>→Pheは正常IRS-1と有意差を認めなかった。 一方インスリン受容体、ブラジキニン受容体および正常IRS-1を発現させた細胞では、ブラジキニン前処理によってインスリンによるインスリン受容体およびIRS-1のチロシンリン酸化ならびにPI3-Kinase活性化が増強された。このブラジキニンの作用機序はインスリン受容体に対するチロシンフォスファターゼを抑制することによることを明らかにした。 2.IRS-1欠損マウスにおける肥満の影響の解析 遺伝的素因は持つものの、明らかなインスリン抵抗性を示さないIRS-1ヘテロ欠損マウス(IRS-1(+/-))が、肥満によりいかに影響を受けるかを解析するため、コントロール(WT)およびIRS-1(+/-)にGTG(gold thioglucose)処理を施し、肥満を導入したマウスを作製し解析した。 IRS-1(+/-)、WTともにGTGにより生食注射対照に比べ約30%の肥満を導入し得た。対照群に比べ肥満群では空腹時の血糖値、インスリン値の上昇を認め、更に肥満IRS-1(+/-)は肥満WTに比べて空腹時インスリン値が有意に上昇していた。ブドウ糖負荷試験では、肥満群では有意な血糖上昇を呈し、肥満IRS-1(+/-)では負荷後60分の血糖値が肥満WTに比べて有意に高値を示した。インスリン負荷試験では肥満群ではインスリンによる血糖低下作用の減弱を認め、更に肥満WT群に比し肥満IRS-1(+/-)においてその程度が大きかった。 以上、肥満を導入することにより、遺伝的な素因を持つIRS-1(+/-)マウスでは、より強いインスリン抵抗性を生じることが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Miyata,et al.: "Bradykinin potentiates insulin-stimulated glucose uptake and enhances insulin signal through the bradykinin B_2 receptor in dog skeletal muscle and rat L6 myoblasts."European Journal of Endocrinology. 138. 344-352 (1998)
-
[Publications] 荒木栄一、他: "2型糖尿病の分子病態とその発生工学的アプローチ"組織培養工学. 25. 567-571 (1999)
-
[Publications] E.Araki,et al.: "Animal models of IRS-1/IRS-2 knockouts"Frontiers in Animal Diabetes Research(Vol 3)(Harwood Academic Press). (in press). (2000)
-
[Publications] H.Motoshima,et al.: "Bradykinin enhances insulin receptor tyrosine kinase in 32D cells reconstituted with bradykinin and insulin signaling pathways."Diabetes Research and Clinical Practice. (in press). (2000)
-
[Publications] T.Taguchi,et al.: "Involvement of bradykinin in acute exercise-induced increase of glucose uptake and GLUT-4 translocation in skeletal muscles.Studies in normal and diabetic humans and rats."Metabolism. (in press). (2000)
-
[Publications] A.Shirakami,et al.: "Obese IRS-1 hetero knockout (IRS-1I+/-))mice are insulin resistant compared to obese wild type (IRS-1(+/+))mice."Diabetes Mellitus;Recent Advances for the 21st Century(Elsevier Science). (in press). (2000)