1999 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖結合によるアポBリポ蛋白質分泌の制御機構の研究
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10671087
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
最上 知子 国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 室長 (90174333)
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Keywords | アポリポプロティンB / VLDL / 分泌 / 糖鎖 |
Research Abstract |
高アポBリポタンパク血症は動脈硬化の危険因子であり、その病因の解析は虚血性心・脳疾患の予防・治療に極めて重要である。我々は肝でのVLDL分泌の制御に着目して研究を行っており、本研究ではVLDLのアセンブリー・分泌過程におけるアポB糖鎖の役割の解明をめざす。アポBは4563アミノ酸の巨大なポリペプチドであり、ヒトアポB100には16カ所、そのN末48%に相当するアポB48には5カ所にN-型糖鎖の結合が確認されているが、その機能は未だ明らかではない。初年度の研究で、ラット初代培養肝細胞とC末端欠損ヒトアポBを導入したhepatoma細胞を用いて糖鎖合成阻害剤tunicamycin(TM)の影響を調べ、アポBの糖鎖は分泌過程で重要な役割を果たすことを明らかにした。また、N末端17%(アポB17)はアポB全長の翻訳・脂質との会合・分泌に重要な役割をもつと考えられているが、このα1ドメインに唯一存在する糖鎖N2(Asn158に結合)の重要性を示唆する結果を得た。そこで、ヒトアポB17、アポB37についてAsn158をGlnに置換し安定発現細胞を作成した。変異アポB17(B17N2)野生型B17(B17wt)に比較して分泌効率は著しく低下した。アポB37の場合も変異型の分泌効率は低下したが、その程度はB17に比較して小さかった。従って、α1ドメインのみのアポB17の分泌にはN2糖鎖は重要な役割を果たすものの、脂質結合ドメインβ1を持つB37では他の4ヶ所の糖鎖もアポB分泌に無視できない役割を持つことが推定される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okochi E.,Nishimaki- Mogami T.et al.: "Perfluorooctanoic acid,a peroxisome proliferating hypolipidemic agent,dissociates apolipoprotein B48 from lipoprotein particles and decreases secretion of very low density"Biochimica et Biophysica Acta. 1437. 393-401 (1999)
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[Publications] 最上(西巻)知子: "アポBリポ蛋白の分泌の機構とその制御"The Lipids. 10. 216-223 (1999)