1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 卓弥 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60291324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 秀巳 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272558)
宮田 哲郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190791)
濱田 洋文 癌研究会化学療法センター分子生物治療研究部, 部長
重松 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40134556)
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Keywords | 血管新生 / 遺伝子組換え / アデノウィルス / bFGF / 閉塞性動脈硬化症 |
Research Abstract |
癌研究所化学療法センター分子治療部にて、遺伝子導入細胞内にのみbasic fibroblast growth factor(bFGF)を発現するvector(AxCAJSbFGF)、遺伝子細胞外にBFGFを分泌発現するvector(AxCAMAssbFGF)の開発に成功した。以上2種のadenovirus vectorによる血管壁細胞への遺伝子組込み、遺伝子導入細胞の分子生物学的評価を東京大学血管外科学教室で行った。同時にウサギ下肢血行障害モデルを作製し、遺伝子導入細胞投与による側副血行路の発達の評価を開始した。以下に現在までの結果を示す。 (1) 日本白色ウサギ(雄、2.5-3.0kg)より真皮、頸静脈を採取後、primary culturcした線維芽細胞、平滑筋細胞に上記bFGF分泌型、bFGF非分泌型のadenovirus vectorを導入し、各細胞群に対する各導入遺伝子の発現効率(bFGF発現定性)及び、導入細胞の発現bFGFによる増殖を比較検討した。ウサギ平滑筋細胞、線維芽細胞1.0×10^7個に20pfu/cellの濃度でvectorを導入した。各vectorの導入率はともに100%であった。非分泌型vector導入細胞群では、導入後28日目間すべての時期で細胞内での有効なbFGF発現と、細胞培養液中での微量bFGF発現を認めた。分泌型vector導入細胞詳では、非分泌型と比較して細胞培養液中の有意に多量のbFGF発現が認めた。また、導入細胞の増殖比較試験においては両vector導入細胞群間での有意差は認められず、ともに非感染細胞と比較して5日間で2倍数の細胞増殖を示した。 以上より、動物モデルに対する遺伝子導入細胞投与に適するのは、bFGF分泌型vectorが適当と判断した。今後、ウサギ下肢血行障害モデル(片側外腸骨動脈〜大腿動脈〜膝窩動脈切除モデル)の虚血側内腸骨動脈にvector導入細胞を動脈内投与し、LacZ組込みvector導入細胞投与群との比較において、血管撮影、下腿動脈圧測定、内腸骨動脈内血流量測定、下腿筋の組織学的検討による虚血肢の側副血行路の発達を証明する予定である。
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[Publications] 宮田 哲郎: "遺伝子導入法の血管外科への応用" 外科. 60. 1680-1684 (1998)
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[Publications] 宮田 哲郎: "バルーン障害後再狭窄に対するPDGF-Bを標的とした治療の可能性" 脈管学. 38. 813-816 (1998)
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[Publications] Hamada H: "Apotosis by retrovirus- and adenovirus-mediated gene transfer of Fas ligand to glioma cells : implication for gene therapy." Human Gene Therapy. 9(14). 1983-1993 (1998)