2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大城 秀巳 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部・分子生物医学研究部門, 教授
宮田 哲郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190791)
重松 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40134556)
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Keywords | アデノウイルス / bFGF / 治療的血管新生 |
Research Abstract |
本研究は慢性虚血肢に対する新しい血管新生療法として、アデノウイルスベクターを用いたex vivo法によるbasic fibroblast growth factor(bFGF)遺伝子の遺伝子導入法について検討した。動物モデルは治療的血管新生療法研究において最も使われることの多いラビット下肢慢性虚血モデルを用い、実験の21日前に予め日本白色ラビット(3-3.5kg)の左大腿動脈を全長にわたり切除して虚血状態を作成した。同時に同一個体より採取した皮膚片より線維芽細胞を分離培養し、実験前日にこの培養線維芽細胞に20pfu/cellの濃度でbFGF遺伝子組み込みアデノウイルス(第一世代)を感染させた。このbFGF遺伝子にはIL-2の分泌シグナルが付加されており、遺伝子導入された細胞はbFGF蛋白を細胞外に分泌するようになる(in vitroの実験で確認済)。この遺伝子導入された線維芽細胞を虚血側の内腸骨動脈より動脈注射しこれを治療群とし、対照群はLacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスを用いて同様の実験を行った。まず線維芽細胞動注前後で下肢血圧の有意な低下は認められなかった。また予備実験として線維芽細胞をIndium-111でラベルし動注して投与細胞の体内分布を検討したが、線維芽細胞は左大腿部に全動注量の29.5±9.5%、左下腿に12.6±8.1%集積し、他部位における有意な集積はなかった。実験28日後、下肢血圧測定、血管造影(angiographic score)、内腸骨動脈血流量測定の後、ラビットを殺処分としサンプルを採取し大腿部筋組織内の毛細血管密度を計測した。治療群では下肢血圧、angiographic score、内腸骨動脈血流量、毛細血管密度のいずれも対照群と比べ有意な改善を示し、この方法は虚血状態の治療として有効であることが示唆された。
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