Research Abstract |
我々は水溶性食物繊維であるアップルペクチンの経口投与により、アゾキシメタン投与ラットにおいて大腸癌発生が有意に抑制されその抑制効果には、アップルペクチンの腸管内PGE2産生抑制による門脈系のスカベンジャー効果が関与することが推察されたため、アップルペクチンから抽出したオリゴ糖に注目し、その水溶液におけるSOD活性及びハイドロキシラジカル抑制をESRを用いて解析した. オリゴ糖はSetereum perpureum ASP-4Bの培養上清より抽出されたendo-polygalacturonaseを用いて、polygalacturonic acidより調製したものを分析に用いた.更にPectinase-GODO endo-PGにより酵素反応を行い、分解物を限外濾過中空糸モジュールによりOligosaccharideとし、平均重合度によりLL(26.6),L(19.9),M(14.6),S(4.1)の4群に分け、さらにS分画を121℃、30分間熱処理し、H分画として測定に用いた.これらの0.2、2、20mg/ml水溶液を作製し、ESRによる活性酸素消去能測定に用いた.SOD活性の測定は、0.2mMの燐酸緩衝液を溶媒として、ヒポキサンチン溶液(HPX)2mM,DETAPAC容液5.5mM,SOD標準溶液の各50,35,50μlにトラップ剤DMPOを15μl(9.2M)を加え、キサンチンオキシダーゼ溶液(XOD)0.4U/mの50μlと混和後発生するadductのスペクトルを計測した.ハイドロキシラジカル消去活性測定についてはFenton反応を用いた.1mMのFeSO4-DTAPAC溶液75μlに、サンプル水溶液50μlを加えて、10倍希釈したDMPOの20μlと0.1mMH20275μlを追加し、2秒間撹拌し掃引はH202を加えて60秒後に開始した. 活性酸素消去能はオリゴ糖0.2、2、20mg/mlではそれぞれ0.89、8.35、30.38%と用量に比例していた.LL,L,M,Sの分子量分布による4群は、0.2、20mg/mlにおいてLL(2.8,-0.1,17.2%),L(4.4,-1.8,18.8%),M(-4.0,-0.2,14.4%),S(11,6,26.3,48.9%)と平均重合度の低いS分画に強い消去活性がみられた.熱処理されたH分画はS分画の1.5倍の活性を示した.LL,L,M,Sの20mg/mlのSOD活性値は、LL(-0.52±0.52),L(2.38±0.61),M(-0.75±0.34),S(5.27±0.89)とS分画において高値を示し、熱処理されたH分画はS分画の5倍のSOD値26.72±2.04を示した.ハイドロキシラジカル消去活性はオリゴ糖0.2,2,20mg/mlでは-0.16、30.67、88.57%と用量に比例して増強し、LL,L,M,Sの分子量分布による4群においてはS分画にのみ消去活性がみられ、H分画も同程度の相対強度を示した.
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